STARS展/杉本博司
会期ギリギリ滑り込みで森美術館で開催されたSTARS展を見に行ってきました。
ムサビに入る前から好きだった杉本博司さんが、出展しているのを見るのは実は初めて。著書を読んでおきながらも今NYに住んでいるというのを知ったのも割と最近。
彼の使う言語が「とても私の好みね〜!!」と改めて感じられた展示でした。
杉本さんの著書『苔のむすまで』に出会ったのはもういつのことだったか覚えていません。小説以外読んでこなかった私にとって衝撃のエッセイと言うか論文というか、
それまで出会った論説文とは似ても似つかない、血が通った一文一文には、まさに文字が感情を持ったような煌めきと呼吸があって、貪るように読んだことを覚えています。
今回の展示で杉本さんのアートの前に立った時、私は
「初めまして。以前から存じ上げてはいたのですが、お会いするのは初めてですね。」
と心の中で唱えずにはいられませんでした。
シロクマを見れば足元からじんわりと冷えが伝わってきて、月を見上げれば首筋を冷たい夜風が通っていくような気がします。
今回の展示で初めて出会った杉本さんの映像作品は、その「人らしさ」が滲んでいるようで、その目に写る世界の一片を垣間見ることができたのかどうか…
その辺はよくわからないけど、私にとっては楽しかったし、美しいエネルギーを感じられてこれで私(視聴者)が幸せだと思ったんだからよかった。と思っています。
杉本さんの本を読んでその作品を見ると、世界の何層にもなっているレイヤーの1つ多くを見ることができる。そんな感じがします。
まだまだ全ての著書を読み切れていないので、これを機に手元にない杉本さんの本も探してみようと思います。
良い三ヶ日でした。(完)
Fumiko/Shiika