全力でおすすめしないダイエット方法
職場で仲間たちと昼食を食べていたときのこと。
新卒2年目の若い女性スタッフが「痩せたいから“IUダイエット”をやろうと思ってるんです」とぽつり。
IUダイエットって何?と尋ねると、韓国の女優/歌手にIU(アイユー)という方がいて、その方が実践した5日で5kg落とす方法なんだとか。
調べると、朝食にりんご1個、昼食に焼き芋1個、夕食はプロテインの合計約500kcalの食事を5日間おこなうのだそう。
やめろ。
不健康になりたいのか。
死なせたいのか。
うっかり口が悪くなってしまうほど許しがたい内容で、なぜこれが流行するのか全く理解できません。
「話題の」とありますが、昨日が初耳でした。
もちろん、そのスタッフには何故実践しないでほしいかを嫌われる覚悟で話し、断念してもらいました。
栄養学の知識が乏しいと、結果だけに着目して“いいものだ”と捉えてしまう。とても危険です。
「いい」と思ってやったことが最悪の事態を引き起こしかねません。
そんな人たちがこれ以上増えないよう、声高らかに伝えたいとおもいます。
なぜおすすめしないのか
1.摂取エネルギーが低すぎる
何もしないでも消費するエネルギー「基礎代謝」というものがあり、成人女性で1000kcal前後です。
人は一日じっとしているわけではないため、プラスαでエネルギーを消費します。そのため、そもそも基礎代謝を下回るようなエネルギー設定(500kcal)に根拠はなく、むしろ危険で健康を損なう恐れがあります。
※考えられる健康障害…月経障害、不妊、骨粗鬆症など
2.減ったのはほぼ水分
極端な食事制限をすると体重が減ります。
しかし、減ったもののほとんどは水分です。
どこの水分が減るのかというと、筋肉内の水分。脂肪はほとんど減っていないと考えていいでしょう。
3.筋肉量が減る=リバウンドしやすくなる
人のほとんどは米やパンなどの主食に多く含まれる糖質をエネルギー源にして活動しています。
摂取した栄養素の吸収とエネルギーへの変換(エネルギー利用)にはビタミンやミネラルが必須ですし、筋肉や骨、血液など体を構成する組織の材料(たんぱく質、ミネラル、脂質)は、様々な食品から数回に分けて(朝、昼、夜)摂取する必要があります。
そうしてやっと筋肉量を維持しているのに、そもそもエネルギー摂取量が足りていない、加えて必要な栄養素も足りていないとなると、体のどこかからエネルギーになるものを借りてこないといけません。
その場所は“筋肉”。
筋たんぱく質を分解してエネルギー源である糖質を作り出すことを“糖新生(とうしんせい)”と言います。
これはひとに備わっている防衛反応のようなもので、糖を主なエネルギー源としている脳に最優先で送り込むための正常なシステムです。
ということは、食べる量が十分でないと筋肉はどんどん小さくなって代謝が下がり、太りやすい体が出来上がってしまいます。
※筋肉量が多いと代謝が上がるため、エネルギーを消費しやすくなります(体温も上がります)。逆を言えば、筋肉量が少ないと省エネの体になり、少量しか食べていないのに体重が減りにくくなったり、太りやすくなったりします。
では、どんな方法がいいのか
「ちゃんと食べる」。この一言に尽きます。
ここでいう「ちゃんと」とは、
①欠食せずに3食前後に分けて食べる
②主食、主菜、副菜をできるだけそろえる
③体重を維持するのに必要なエネルギー摂取量を知る→安全な減量計画を立てる(短期決戦は×)
これらに加えて
④適度に動く(歩く速度に変化をつける、遠回りして帰る、階段を積極的に使うなどでOK)
⑤十分な睡眠時間を確保する(睡眠時間が短い人は肥満になりやすい)
ありきたりなことかもしれませんが、これが一番の近道です。
健康(理想のからだ)づくりは、一日にして成らず!
センセーショナルでキャッチーな文言や方法は確かに魅力的に映ります。しかし、果たしてそれが本当に自身にとって健康をもたらしてくれるものかどうか、鵜呑みにせず調べる習慣をつけてほしいと願っております。
ということで、このダイエット方法はおすすめしないからやらないでね!