詩 I 夜空にファスナー
夏の夜空をながめていたら
流れ星を見つけたんだ
願いごとはどうしよう、と
とっさに思いついた願いごと
「流れ星がまた見れますように」
心の中でそうつぶやいた
そうしたら流れ星の長い尾が
ファスナーみたいな形に変わって
消えることなくそのまま残った
ファスナーはゆっくり開きはじめ
夜空に長いすきまができはじめた
そこからどんどんどんどん新しい
流れ星が溢れ出した
暗い夜空のあちこちに
飛び出していく星たちは
まるで大きな花火みたいで
ぼくの心をゆさぶった
飛び出た流れ星のひとつが
頭の上に落ちてきた
思わず手を上げてつかもうとすると
するりとすり抜けて地面に落ちた
流れ星を拾いあげて
ありがとう、とお礼を言った
星は一瞬明るくひかり
ぼくの手の中で消えていった
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