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はじめに【ベジと字vol.3 セロリ】

「ベジと字」とは?

ベジと字は、「野菜」と「カルチャー」をテーマに、maru communicate紀平真理子(きひらまりこ)を中心に制作しているフリーペーパーです。

これまで「ベジと字」で取り上げたじゃがいも(vol.1)かぶ(vol.2)は庶民の味方の野菜でした。今回のテーマは一変して高貴でミステリアス、魅力あふれる香り豊かな「セロリ(セルリー)」です。どうぞよろしくお願いします。

香り豊かでミステリアス。セロリという貴族の遊び

今回のテーマは「セロリ」です。紀元前1900〜1800年頃に、エジプトではミイラの防腐剤や装飾として野生のセロリが使われました。

ギリシャでもセロリは聖なる植物としてオリンピックで月桂樹の葉として使われていたとか。頭にセロリを巻きたくなってきますね。

セロリの栽培がはじまったのは16世紀以降のヨーロッパ。イタリアでは茎がしっかりしたものが選ばれ、茎の根元の周りの土を押し上げる栽培方法でセロリの強い風味と緑化をおさえました。

フランスでは17世紀半ばまでは香料として使われることが多かったのですが、その後セロリの小さな茎や葉にオイルドレッシングをかけてサラダとして食べられることもあったとか。じゃがいもやかぶを食べている人が多かった時代にセロリ葉サラダとは!

舞台を18世紀のスウェーデンに移します。その頃、裕福な家庭は収穫したセロリを地下室に保管し、作物が収穫できない寒い冬の間「セロリという贅沢」を楽しんだそうです。セロリは貴族の遊び的な気高い野菜なんですね。

諸説ありますが、日本へは豊臣秀吉の朝鮮出兵時に渡来したという説やオランダから長崎へ持ち込まれたという説があります。「セリニンジン」や「オランダミツバ」などと呼ばれ、ニンジンと間違えられることもしばしばあったそうです。

セロリは香りも強いし、高級だし...。しばらくの間、日本ではほとんど食べられることはありませんでした。戦後に食生活が西洋風に変化するとセロリの需要や消費も増え、全国に産地もできました。そうなると、高級食材だったセロリの価格も下がり一般庶民でもその香りを楽しめるようになりました。

庶民の手に届くようになったとはいえ、セロリの高貴な雰囲気は今なお隠しきれません。白と黄緑色でやわらかく上品にほほえむ姿も、濃い緑色で元気ながらもふわっと香りやちょっとした刺激を届ける姿も気品あるセロリならでは。セロリのことは話さなくていい。セロリのことは深く知らなくてもいい。そんなミステリアスな魅力あふれるセロリをご堪能ください。(きひら)

目次

ベジと字ルーティーン(ヤン・キへ)
VEGE×YOGAベジヨガ(鷲尾康明)
セロリ×じゃがいもから考察するコラボレーション論(きひらまりこ)
セロリ観察詩(スミカオリ)
編集後記

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