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コーヒーは気分よく飲みたい

お恥ずかしいことに私はバカ舌で、コーヒーの味の違いは分からないくせに、毎朝コーヒー豆を量って、ミルで挽いてコーヒーを飲む。しかもいっちょ前に、お店で豆を選んで、その場で焙煎したものを購入している。

お店では最初、どんな味がお好みですか、と聞かれたがバカ舌なので味がわからない。飲み比べると分かるし、飲んだ時に「うーん好き」「うーん微妙」くらいの感想はあるが、酸味とか苦みとか、ワインとか木の実感とか、そのあたりがサッパリだ。
最初は誤魔化して豆を買ったが、ある日思い切って正直に自分はバカ舌であると告白した。バカ舌だけどコーヒーを飲むこと自体が好きなんです、そんな奴がいい豆を買って申し訳ないと。挽きたてのコーヒー豆にお湯をかけたときにふわぁっと立ち上る香りが好きなのと、きっちり量って美味しく淹れる時間が好き、自分に酔っているだけなんです、と。
気の良い店主は、それで十分コーヒーを楽しんでいますよ、これからもその調子で楽しんでください、と言ってくれたので安心してそのお店でリピート購入させてもらっている。
嗜好品なんて、自分の好きなように、気分よく飲むのがいいのだ。

さて、そのコーヒーだが無職で貯金が底をついてきた私には少し贅沢品になってきた。それでもコーヒーを飲みたい。苦肉の策でインスタントコーヒーを買うことにした。

私がコーヒーを毎朝豆から淹れて飲んでいることを知っている夫にはビックリされた。「インスタントコーヒーって、まずいんでしょ」

私の夫はコーヒーは全く飲まない。黒くて苦くて何がいいの、と言っている。豆から淹れる時の香りはいい香りだね、と言ってくれるが。

どうして飲まないくせにまずいと知っているのか聞いてみたら、母上様がまずいと言っていたと。コーヒーを飲まない夫にまでまずいと認知されているインスタントコーヒーかわいそう。

インスタントコーヒーの封を開け、キッチンスケールでインスタントコーヒーを2g量りマグカップに落とした。電気ポットでお湯を沸かし、きっちり140mlをマグカップに注ぎ入れた。インスタントコーヒーの側面に分量が書いてあったからだ。

飲んだ感想、あれ、そこまでまずくないけど?

私がバカ舌だからまずいと感じないのかもしれない。コーヒーを淹れる楽しみは豆からと違って全く皆無だが、別に飲めるには飲める。

レシピサイトでインスタントコーヒーを使ったレシピを調べてみたら、お菓子に使われていたり、電子レンジで再加熱することでコーヒー豆に香ばしさを出したカフェオレを作るレシピもあった。

そっちも試してみたら美味しかった。
なぜ義母はインスタントコーヒーをまずいと言っているのか。

ある日のこと、帰省している時に義母とインスタントコーヒーを飲むことがあった。
インスタントコーヒーの封を開け、ティースプーンでコーヒーをすくい、マグカップに落とした。電気ポットでお湯を沸かし、マグカップに注ぎ入れた。ちょっと微妙な味だった。もちろん顔には出さないが。

そこでようやく分かった。
インスタントコーヒーだって適当に作ったらそりゃまずいわ。

そりゃね、インスタントコーヒーなんて、適当に作って適当にお湯を突っ込んで美味しく手軽に飲めるのが一番だけどさ。コーヒーを作る会社が試行錯誤して作っても、購入した消費者側が毎度分量をブレブレで作ってたらおおよそは美味しく飲めたとしても、マズい回にもぶち当たると思う。

どうせ飲むなら美味しく飲みたいので、今日も私はインスタントコーヒーを計量して飲むのでありました。インスタントコーヒーを量るなんてめんどくさくない?と夫には言われたけど、美味しく気分よくなれるのならこっちのほうがいい。

インスタントコーヒーはまずいと思っているお母様にも、一度コーヒーもお湯もきっちり計量して飲んでみてください。結構マシになりますよ。いつかそれとなく伝えてみようと思う。

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