3ヶ月
先週から一人暮らしをもう一度始めている。怪我の様子も悪くない。多少痛みはでるものの、慣れてしまえばなんてことはない。仕事も時短だが就業できるようになり完全に社会復帰を果たした。
飛び降りた日から、今日でちょうど3ヶ月になる。
時間が経てば経つほどあの日の自分が不透明になっていく気がする。本当に飛び降りたのかわからなくなってくるほどに。時々電撃のように走る背中の痛みだけが今となっては飛び降りた証拠だ。
思ったよりも元気じゃん、と大体の人に言われる。うん。思ったよりも元気なんだ。足どりも多分みんなの想像よりもしっかりしているから、言わなければ骨が折れてコルセットをしているなんて気づかれないだろう。
いつまでも自殺未遂の事を引き摺って、暗い顔してても誰も幸せにはならない。誰もそんなのは望んでいないだろう。しかも社会はそんなのお構いなしにどんどんと回っていく。ともかく振り落とされないように私はしがみついている。
だからなのかな、最近はほんの少し心が疲れてきている。
退院後の実家にいた私と今の一人暮らしの私の心の中は多分違う。
何かが淀んでいっている。
寂しいのに誰にもいて欲しくない。
みんな嫌いなのにそばにいて欲しい。
1人が嫌いなのに1人がいい。
自殺未遂をする前の私と同じだ。
同じ気持ちなんだ。
でももう私は死ぬ選択肢を選ばない。
首を切るのもODもしない。
自分を苦しめることはもうやらない。
あの日から3ヶ月、私は生きてきた。
なんだか人生の延長戦のような感覚のまま生きている。でもきっとこれから生き続けるのなら延長戦の時間の方が長くなるだろうし、そうであって欲しい。心からそう思う。
大事にしたいんだ。
生き残った自分を。
死にたくないと思った自分の心を。
だからよくわかんないこの今の矛盾した精神状態になっても、もう焦ることはない。私にはこれからまだまだ人生は続いていく。いつか分かる日が来るのなら、それでいい。今すぐこの矛盾した気持ちに答えや名前をつける必要はない。
他者はすぐにメンヘラとか言うけれど、そんな名前をつけて納得するのが最早バカバカしい。
心はもっと複雑で繊細で綺麗で汚くて単純で優しくて寂しくて、いつも何かを求めている。
ままならなくていい。
自分の気持ちを無理に知ろうとしなくていい。
だから無理にわかろうとしてくる人も受け入れなくていい。
わからなくても、側にいてくれる人がいる。
私にとってはそれだけで十分だ。