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【2025年1月20日】しんみり物質
友人から「午後から曇り空でしんみりしちゃったよ」というメッセージが届いた。
私は「うん、しんみりしたねえ」と返した。
この「しんみり」、私は先日も感じていた。それが底なしの「しんみり」で、嫌な夢のせいか、それとも女性ホルモンの関係か、などと考えていたのだが、似たような年頃の男性までしんみりしているのだから、これは「しんみり物質」がその日の空気を満たしていたのだろうと思った。
思い返せば、春が近づくと私はしんみり体験が増える。
梅の香が漂うころ、少し濁った空の下で感じるしんみり。あるいはもう少し先、桜が花開きはじめたころの晩、わずかな湿り気とともにあらゆる植物のブレンドされた香りが運ばれてきて、寒いようなぬるいような温度に身を包まれたときの、しんみり。
いずれも、しんみり物質のしわざではないか。
そんなとき、あえてしんみりに身をさらすべく外に出ることもあるが、時に身に堪える。
わかる人、いるかな。しんみりしたら連絡ください。「おー、今日はあちこちでしんみりか」と思えば、なんてことない。
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撮影:丸橋ユキ
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