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日本解剖(産業構造)

▼従業員数でみる日本の産業構造


出典「令和3年経済センサス」統計局

・日本が「ものづくり」の国と呼ばれる理由がデータからも分かります。従業員数、売上、付加価値額、給与総額のいずれも、最大の産業が製造業です。
・一方、従業員数(%)に比し、付加価値額(%)や給与総額(%)が増えていない業種や逆に増えている業種が見受けられます。

▼価値を生み出し、給与を増やしているのは


・赤マスは、従業員数(%)に比し、付加価値額(%)を増やし、給与額(%)に反映している業種。
・青マスは、従業員数(%)に比し、付加価値額(%)を減らし、給与額(%)も減らしている業種。

出典「令和3年経済センサス」統計局

▽従業員数(%)に比し、付加価値額(%)を増やし、給与額(%)にも反映されている業種

・製造業
規模による効率化、重化学工業は成長分野及び海外の成長市場への製品供給
・建設業
規模による効率化と外注による需給調整
・卸売業
薄利多売の業種であるため、従業者数(%)に比し、大幅に増えた売上(%)で、付加価値額も残し、給与にも反映させる
・金融業,保険業
グローバル性と専門性、デジタル化で全産業平均の1.5倍の労働生産性
・不動産業
価値の差別化。装置産業であるため1人当たりにすると高くなる数値のマジック
・情報通信業(通信業,放送業,映像・音声・文字情報制作業)
価値の独占、規模による効率化
・電気・ガス・熱供給・水道業
価値の独占、規模による効率化
・鉱業,採石業,砂利採取業
一時的な市場の回復

価値の独占、価値の差別化、規模による効率化、グローバル性を有する業種が付加価値額を増やし、給与にも反映できています。

▽従業員数(%)に比し、付加価値額(%)を減らし、給与額(%)も減らしている業種。

・小売業
衰退市場である国内の一般消費者が取引相手
・サービス業(政治・経済・文化団体,宗教を除く)
衰退市場である国内の一般消費者が取引相手。規模小さすぎ
・飲食店,持ち帰り・配達飲食サービス業
衰退市場である国内の一般消費者が取引相手
・運輸業,郵便業
旅客は高い地域性(市場縮小が激しい地方が基盤)
・生活関連サービス業,娯楽業
衰退市場である国内の一般消費者が取引相手
・教育,学習支援業(学校教育)
少子化
・教育,学習支援業(その他の教育,学習支援業)
少子化。規模小さすぎ
・宿泊業
都市型ホテル以外の零細性
・サービス業(政治・経済・文化団体,宗教)
少子化・価値観多様化。不景気による寄付金低下。規模小さすぎ
・農業,林業
農業法人の零細性、関連法規の硬直性、流通チャネルの未発達

国内の一般消費者を顧客とし、規模の小さい業種が、付加価値額を増やせず、給与にも反映できていません。

▼価値を生み出し、給与を生み出している職業の割合が減っている

 ▽産業別GDP構成比(%)の推移

出典:「我が国の通商・経済の変遷と構造変化」通商白書2012年版経済産業省

戦後から高度経済成長期終了する73年(第1次石油危機)までは、付加価値額を増やし給与を増やせる業種が増え続けていたのがわかります。
バブル崩壊後(92年)、形勢逆転。
少子高齢化が進むと、高齢者対応サービスと高齢者が務められるサービス業が増えていきます。
・若者と企業の融合も減り、多様性が生み出すイノベーションの機会が減り、生産性向上させる環境も悪化していきます。

スウェーデンやアイルランドのように人口1000万人弱の小国なら、産業転換で流れを変えることは可能ですが、5000万人を超える欧米先進国では産業構造転換は難しいものです。それでも、製造業がグローバル性を有し、最先端分野に挑戦している独仏のような先進国は、衰退を少しでも留めることができるでしょうが、3/4が系列[1]・8割が企業間取引[2]・5/6が 国内取引だけ[3]という極めて閉鎖的な取引環境で経営を安定させてきた日本では、この衰退構造を止める術がありません。


[1] 出典:「日本企業にDXを普及させる最大のカギは、下請け構造からの脱却」独立行政法人経済産業研究所
[2] 出典:「令和元年版電子商取引調査」経済産業省
[3] 出典:「中小企業のグローバル化の進展:その要因と成果」独立行政法人経済産業研究所



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