地方から消えゆく職業、誘致すべき産業
▼今後20年で人口が2割減少=国内市場2割減少
政府統計の市区町村データでは
2020年から2045年にかけて人口伸縮率「83.3%」とし、
約2割の人口減少を予想しています。
つまり、国内市場が2割小さくなるのです。
▼消えていく職業の順序
市場が2割小さくなるので、弱い職業は次々消えていきます。
▽人口減少・少子高齢化の影響を受けやすい職業の特徴
❶個人消費者に依存している職業
飲食店、洗濯・理容・美容・浴場業、飲食料品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業などがこれに該当します。
これらの業種は、地域の消費者需要に依存しており、地方人口が減少すると売上が大きく影響を受けます。
❷商圏が狭い職業
同一市町村や近隣市町村の範囲内に商圏が限定される業種、
飲食店、理美容、飲食料品小売などは、
人口減少の影響を受けやすいです。
これらの業種は、広範な顧客層にアクセスできないため、地方での収益性が低下するリスクが高まります。
❸損益分岐点比率が高い職業
損益分岐点比率(固定費÷粗利益額)が高いの業種は、
固定費負担が重く、少しの売上減でも赤字に陥りやすい職業です。
飲食業、衣料小売業、自動車整備業などが該当し、
これらは地方でのビジネスモデルとしてリスクが高いと考えられます。
▽消えていく職業の順序
2045年にかけて人口が「83.3%」になるとして
損益分岐点比率83.3%以上が青マス(番号は産業分類番号)です。
つまり、青マスの職業は2045年にかけて赤字になる計算です。
特に「販売先が個人消費者」で「商圏が狭い」職業の地方での衰退は顕著になります。
★損益分岐点比率(固定費÷粗利益額)の意味
バス・タクシーの損益分岐点比率97.9%とは、
売上が2.1%以上減少すると赤字になることを示します。
地方で暮らしている人ならわかるでしょう。
飲食店
美容院
商店街の生活用品店
冠婚葬祭業
などは消滅しています。
「放送業=有線放送」は
損益分岐点比率はそれほど悪くありません(84.4%)が、
地方の個人消費者への依存性の高いため、これから生き残ることは難しいことがわかります。
▼地方に誘致すべき産業
▽人口減少下でも生き残れる産業の特徴
❶企業向けの販売が中心
企業に対して商品やサービスを提供する業種は、地方の人口減少による消費者需要の減少の影響を受けにくいです。
これらの業種は広い商圏や大企業との取引が多いため、地方に限らず収益を確保しやすいです。
❷商圏が広い
特にインターネットを活用した無店舗小売業などは、地域の制約が少なく、ビジネスの継続が容易です。
❸損益分岐点比率が低い
収益に対する固定費負担が軽いため、売上が少し減少しても事業の継続が可能です。
▽地方に誘致すべき産業
2045年にかけて人口が「83.3%」になっても
黄色マスの職業が黒字を維持できます。
特に「販売先が企業」で「商圏が広い」産業は
人口減少の影響を受けにくいので、地方に誘致すべき産業です。
つまり
「製造業」
特に「機械器具製造業」「化学工業」が望ましいことが明白です。
実際、全国平均を上回る付加価値額と賃金を実現している36市区町村中、29市町村で製造業が突出した産業シェアを占めています。
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