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Amtrakで大陸横断。50時間寝台列車の旅

9月の初め、母と2人で
アメリカ西海岸シアトルから中西部シカゴへ
50時間のAmtrak旅に行ってきました。

緑に囲まれたエメラルドシティを出発し
ロッキー山脈、そして大平原へ、
変わりゆく車窓風景を楽しみました。

🚞


行程

まずはポートランドからシアトルへ、
Cascades #504(カスケーズ)という
名前の列車で3時間。
そしてEmpire Builder #8
(エンパイア・ビルダー)に乗り換え、
シアトルからシカゴへ47時間。
全2泊3日、50時間の旅です(予定)。

アメリカ北部を横断するEmpire Builderは、
旅客鉄道Amtrak(アムトラック)の
長距離列車路線です。
太平洋岸北西部と中西部を結んでいて、
アメリカ西部の風景を楽しむことができます。

座席は、コーチ(エコノミー/ビジネス)と
寝台車(roomette(ルーメット)/ベッドルーム)の4種類。
私たちはroometteを予約しました。

ワシントン州シアトルを出発し、カスケード山脈を通り抜け、コロンビア川を渡り、アイダホ州を横断。モンタナ州で大陸分水嶺を越え、東進する。ノースダコタ州とミネソタ州の大草原地帯を通過した後、ミシシッピ川沿いの区間でウィスコンシン州に入り、最終目的地のイリノイ州シカゴに到着する。

出典: Amtrak Vacations (June 24, 2024)

州の名前が多すぎて分からん!
とにかく長い旅路になりそう!

1日目

10:40(GMT-7) ポートランド

Portland, OR (PDX)

Union Station (PDX)

前日まで
オレゴン州ポートランドに滞在していました。

ネオンサインがかわいい構内
待合室
Cascades #504

まずはポートランドからシアトルへ。

広々としていて乗り心地ばっちり

Cascadesは少し()遅れて
14時過ぎにシアトルに到着しました。

King Street Station (SEA)

実はポートランドから直接
Empire Builderに乗ることもできたのですが、
一旦シアトルまで行くほうが
少し安かったのでこの方法に。

駅舎を探検したり昼食を取ったりして
時間をつぶしていると、
16時ごろから
Empire Builderへの乗車が始まりました。

Empire Builder #8
廊下を進んで
自分たちの部屋へ!

小さめの寝台車roometteは、
コンパクトでかわいい空間です。

ミネラルウォーター付き。ミニテーブルもある

16:55 (GMT-7) シアトル

Seattle, WA (SEA)

さあ、長い旅の始まりです!

まずは、寝台車担当の
乗務員さんが挨拶に来ました。
ジョシュアさん。

出発後しばらくは、ワシントン州の海沿いを
北上していきます。

ピュージェット湾という名らしい

日が傾いてきて、東へ。たぶん山の中を走行。
圏外になったところで夕食の時間です。
寝台車の運賃には
食堂車での食事が含まれているため、
部屋を出て食堂車へ移動します。

4人掛けのテーブルに、順に案内されます。
名物の相席!こみゅりょく!

前菜、メイン、デザートの3つを選んで注文。
飲み物も1杯ついてる
前菜はテンプラにした。天ぷらではないが
チリソースと合ってうまい

目の前に座ったお2人は
途中のモンタナ州で降りるそうで、
私たちが終点まで乗ることに驚いていました。
列車はあくまで手段なのかも。

山がちになってきた

話を弾ませる(初対面だと勝手には弾まない)
のはなかなか大変でしたが、
山ばかりの景色と意外においしいごはんで
場がもちました。

Amtrak自慢のステーキ
重めのデザート

夕食を終えて部屋に戻り、
ジョシュアさんに
寝台の準備をお願いしました。
向かい合っていた座席を平らにして、
上の板みたいなのを下ろして、
ちゃんと2段ベッドになった!

2段目は落下防止ベルト付き。
寝相が悪くても安全安心

清潔なマットレス、シーツ、
毛布に枕も用意されていて
けっこう眠れそうです。

寝台車には共用のシャワー室がついています。

お手洗いは3つある

シャンプーリンス石鹸、タオルまで揃っていて
水も使い放題っちゃ使い放題で便利でした。

使う人が少ないのか、いつ行ってもきれい

列車はちょこちょこ停車しながら、
ロッキー山脈の中へ。暗くて見えないけど。
どこでも寝られる人間は21時過ぎに就寝。

ロッキー山脈を撮りたかったのであろう
心霊写真

2日目

ぐっすり寝ていましたが、
夜1時に目が覚めました。

列車が止まっている!!

1:00 (GMT-7) スポケーン

Spokane, WA (SPK)

この駅には30分停車し、
ポートランドから来ていた車両と連結します。
窓の外を見ると、
水の補給もしているみたいでした。

再び眠りの中へ

6時半起床。寝起き微妙。
ポートランドからやってきた車両には
展望車がくっついているので、
朝日を期待して移動します。

コーチを通って展望車へ。
寝台車ではなくここで寝泊まりする人も
展望車に着いた。皆早起きして朝日を待つ
朝霧が立ちこめる湖

列車は標高を上げて走行し、
山々と湖、朝日が見えてきました。

日が昇ります

次の停車駅のアナウンスがあり、
停車時間が10分あったので外に出ました。

7:20 (GMT-6) ホワイトフィッシュ

Whitefish, MT (WFH)

おはようモンタナ

朝の冷たい空気が心地よい。。
眠気が吹き飛びます。

乗車時には見ていなかった
先頭車両まで歩いてみました。

顔に汚れを受けているがかっこいいぞ

駅やその周りには何もなかった。
駅弁とかあれば売れそうなのになー。
などといらんことを考えつつ車両に戻ります。

朝はアメリカンブレックファストが中心。
メニューから1つとお肉と飲み物を選びます

食堂車で朝食。
今回も相席なので、気合で会話です。

甘そうなフレンチトーストに
ベーコンをトッピングしてしまいました

昨夜とは別の若いお2人。
シカゴまで列車で行ったあと、
そこから自転車で移動するとのことでした。
すごいタフ。(自転車は貨物車に乗せてる)

朝食を終え、再び展望車へ。

母はコーヒーをゲット
標高はまだ1,600m近くある
山が遠くなっていく

ロッキー山脈を見送り、グレートプレーンズ。
一面の小麦畑に牛、ときどき馬、
始まりました。

もぐもぐ発見
小麦畑だー

11:00 (GMT-6) シェルビー

Shelby, MT (SBY)

いい天気

20分の停車。ストレッチの時間です。
駅にも、その周りにもほとんど何もない。

駅に公衆電話があった
ニューホライズンみたいなイラストもあった

列車が動き出し駅を離れると
すぐに草原。牛。
「Grass-fed(グラスフェッド)」
として売られている牛肉は
ここのお肉かな、なんて考えました。

12時半ごろ、食堂車で昼食タイム。

ハンバーガーにコーラだよ

シニア2人組と相席です。
なんか、1つ話題を振ると
めっちゃ話してくれる!
年齢層が上がっておしゃべりになりました。
うれしい。
2人とも退職して、
家族との時間を楽しんでいるとのことでした。

デザート多いって

昼食後は、デザートのブラウニーと
小説本を持って展望車へ行きます。

この日はやはり、ずっと草原。
草を食べ続ける牛をぼーっと眺めたり、
ちらっと見えた民家の人の生活を
勝手に想像したり、
はたまた手元の本に目を落としたり。

ゆったり過ごしていましたが
流れる景色はものすごく速くて、
時刻表(「一応」ある)から
20分ほど前倒しで進んでいきます。
昨日は予定より遅れてたけど、
どこで巻き返した?!

牧草ロールごろごろ

おやつにブラウニーを食べて
しっかり昼寝をして、
起きるとネットワークが復活してました。

18時ごろにモンタナ州からノースダコタ州へ!
標準時が切り替わった!19時!
なんか、油田が現れた!

畑に油田が点在

曇っていて夕日は見られなかったけど、
辺りが暗くなると油田の炎がよく見えました。

食堂車での夕食。
はい。食べては寝、食べては寝です。

今日はテンプラ回避のサラダ。
コップにもお皿にもAmtrakの印があってかわいい
またもやステーキにしちゃった。
母のサーモンもつまみ食い

それぞれ1人で来ているという
おばさま、おじいさまと相席です。
2人とも豪快で、仕事や音楽の話で
ワッハッハーと大盛り上がり。
の中に頑張って混じって
ワッハッハーしました。
皆で無理やりデザート食べきる大会した。
おじいさまが優勝。楽しかったな。

21:35 (GMT-5) マイノット

Minot, ND (MOT)

1時間ちょっと、
水や食料補給のための停車です。
この時点で驚異の30分巻きだったので、
予定より長めに停まっていました。
余裕ぶっこいてます。

駅舎は夜で誰もいない
ジョシュアさんはベッドメイキングで大忙し(2階)

3日目

この日の朝も展望車を狙って6時起床。
冷房が効いているので
ブランケットを持っていきます
(3日目にしての学び)。

まだ暗いとなんかうれしい
車が1台並走
草丈が長くなった

夜のうちにミネソタ州に入っていて、
緑が多くなってきた気がします。プレーリー?

巨大スプリンクラーを見られて満足🙌
曇っていたけど、太陽が出てきた
展望車にも光が入る

食堂車で朝食です。

具沢山オムレツ

食堂車にはキッチンが繋がっていて、
すべて一からとまではいかないものの
スタッフが調理してくださっています。
温かい食べ物が食べられる。幸せ。。

9:15 (GMT-5) セントポール-ミネアポリス

St. Paul-Minneapolis, MN (MSP)

大都市っぽいところを通過して
しばらくすると、双子都市の駅に停車。
45分遅れです。
なぜー。前日までの余裕どこー。

シアトル以来の高層建築物

都会に見とれていると、
出発時刻が迫っていたようで
ジョシュアさんに呼ばれました。

急いで乗車

そこからは
ミシシッピ川沿いを南東に進みます。
この川がアメリカ南部、メキシコ湾まで
続いているとは。。

川とは思えん広さ

11:25 (GMT-5) ウィノナ

Winona, MN (WIN)

終点まで乗る人にとっては最後の下車

30分遅れまで回復して、最後の休憩です。

サスペンダー短パンハイソックスおじいを目撃

そして食堂車に戻り最後の食事。
初老のお2人と相席です。

グリルチーズサンド。うまい

さすがに初対面の人との会話に慣れてきて、
まずは自分の情報を一通り言うこと、
相手の発言についてバンバン質問することが
大事だと分かりました。
こみゅりょく向上か?

テーブルのバラがこの3日で開きました

昼食後は展望車が閉まり、
到着まで部屋で過ごすことに。
寝台車は2階建てになっていて、
私たちは1階の部屋だったので
展望車よりも低い位置から景色が見え、
ちょっと新鮮でした。

大豆畑かな

線路はミシシッピ川を離れて
ウィスコンシン州へ。
小麦、大豆、トウモロコシの畑が続き、
同州ミルウォーキーに着くと
ミシガン湖沿いを南下していきます。
といっても湖は見えず、畑だらけ。
さすがに眠気に負けて昼寝しました。

17時ごろにはもうイリノイ州に!
1つ手前の停車駅を過ぎて
「まもなくシカゴ」とのアナウンスがあり、
ワクワク!!

奥に高層ビルが見えてきた

しかしここからが長かった!

Amtrakは
他の旅客鉄道や貨物列車との兼ね合いからか、
これまでの運行も早くなったり遅くなったり。
シカゴ駅の直前でかなり長いこと停車。

地元の通勤鉄道Metraの
車庫を見(せられ)る時間

17:45 (GMT-5) シカゴ

Chicago, IL (CHI)

やっとのことで到着しました。
1時間遅れです。
想定していたよりいいタイム
(何十時間と遅れることもあるらしい)。

「到着が遅れまして申し訳ございません」
なんてアナウンスではありません。
「はい、シカゴ、ついに到着です」でした。
いいね!

おつかれさま

3日間乗客のサポートをしてくださった
ジョシュアさんに別れを告げ、
Empire Builderを降りました。
50時間、満喫したぞ!

駅でか
Union Station (CHI)
シカゴ初上陸です✌️

乗ってみる価値あり!

シアトルからシカゴまでを横断する
寝台列車の旅、
アメリカの大大大自然を眺めて
ゆったり過ごすことができました。

高校地理のまんまの(ように見えた)風景は、
ころころと変わるわけではないけれど
そこに暮らす人々や生き物の様子を
しっかり感じさせるもので、
胸を打たれました。

Empire Builderで出会った
乗客や乗務員の方々とは
毎回の会話に緊張しながら
それでも色々な話ができて、
列車旅の醍醐味を味わえたと思います。

乗る価値、ありです!

楽しかった!母ありがとう!

長くなりましたが、
お読みいただきありがとうございます!


見出し画像:
3日間お世話になったEmpire Builder

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