映画すみっコぐらし 第二弾
すみっコぐらしと言えば、グッズが園児〜小学生を中心に大人気のSAN-Xキャラクター。
当然シアター内はこどもだらけ、上映中もあちこちから無邪気な声が聞こえてきます。
すみっコ達に声はなく、
前作に引き続き、井ノ原快彦さんと本上まなみさんがナレーションで参加されています。
お二人の声の優しいこと…読み聞かせ音源とか出してくれないかな?
なんだかここまでの紹介だと、クオリティに懸念を持たれてしまう気もするのですが
私はそんな心配は必要ないと思いました。
本来アクションとは無縁なすみっコ達が、
元の絵そのままに、喫茶すみっコで長椅子に座りちまちまと動く様子はおかしみがあって可愛いです。
一画面であれだけバラバラに個性を持った動きをしているのは豪華に感じます。
教育番組やポケモンでも感じた事なのですが、
子どもが見ることを想定して表現しているからと言って、扱っているテーマが子ども騙しとは限りません。
絵本的な話の飛躍が面白かったりもします。
もちろん現実に即した残虐な世界観などは絶対に味わえないのは確かですが、
こんなに優しくて素敵な世界を見せるため、丁寧に作られている事に感動を覚えるくらいです。
特に冒頭の、映画ならではのキラキラした映像は綺麗でした。
映画オリジナルのキャクターは出てきますが、
結果、作者やそれぞれが元のイラストに持っているイメージが守られているのではないでしょうか。
「ふぁいぶ」 と 「とかげ?」
がメインのお話しであることは、
前回の「ひよこ」と「ぺんぎん?」に比べてもより明確でした。
2つの違う世界の住人が出会うことで
文化の違いみたいな所から、悪意なくトラブルが起きるのですが…
それ故にふぁいぶが手に入れる、他のまほうつかいには無い(かもしれない)力こそがメインテーマ。
このふぁいぶの変化は、慕っているとかげ?の姿を見て起こることなんですよね。
最後にわかりやすく書いてくれていますが、
ハッキリ変わった瞬間は、言葉が全くなくキャクターの動作だけで示されていてとっても素敵でした。
ネタバレ
「心の力」に任せてその場で魔法が使えるようにはならない。
魔法で派手に盛り上げるシーンを、テーマの解決がついた後にはしない所、好きです。
ファンタジーであっても曲げられないルールがあった前作に引き続き、
子どもも大人もこの結末から色々なことを感じとると信じて、
綺麗事にまとめない誠意みたいなものを感じるのは大袈裟でしょうか。
ふぁいぶが夢の力を信じて頑張っていけそうだと私が感じられるのは
すみっコたちひとりひとりの夢を取り戻すシーンのお陰だと思います。
キャラクター紹介も兼ねてて凄く良いです。
良かれと思ってかけた魔法で皆がへんになってしまった、と泣くふぁいぶは
自分に夢を叶えてあげる力があれば…とも考えていそうですが、
解決の為にすみっコたちがしたことは、本人に夢を思い出してもらうよう促すだけでした。
そもそも隅が安心する変わり者の彼らの悩みって
誰でも身に覚えのあるような、
真剣で、でも周りから見るとそのままで良いんじゃない?って思うようなものですよね。
しろくま = 環境への不満
寒いと感じることは本当だし困ってはいるけど
温かい飲み物を飲んで風呂敷に温めてもらい、
北極からは既に逃れているわけです。
ねこ = 理想の姿になりたい
食べすぎたり、兄弟に比べて太っているのは事実だけど、それはそれで魅力的。
お腹を空かせたり、自信なさげなねこを見ていると
大丈夫だよ何も問題ないよと言ってあげたくなります。
とんかつ = 必要とされたい
とんかつの脂身の多い端っこを残す人は実際にいますね。
食べ物としてのアイデンティティで、何とか食べてほしくて着飾ったり衣のメンテナンスをする姿は健気です。
よく目をキラキラさせているけど、
そして私たちの日常にはそぐわない話だけど
君の場合食べられたらそこで全てが終わるのでは…?
ぺんぎん? = 自分探し
出自がはっきりしないのは本人にとって深刻ではある。
でも緑色で、きゅうりが大好きで、泳ぎが得意で、色々考えてこんで、本に答えを求める、それが君だよね。
(とかげ? = 正体を偽っている)
お母さんと離れて暮らすことは寂しいけど、
会えた時にも一緒に行くことはしていない。
秘密を明かさず身を守っているのは、何がいけないんでしょうか?
打ち明けられそうな人がいるだけで、話さなくても良いよ。
何より、全員が仲間といることを心地よく思っていそうなのがそのままで良いことの証明。
悩みがなかったら、別の(本来の)場所で生きているコたちなんです。
悩みこそすみっコがすみっコたる所以です。
そんな自分らしさを取り戻す、大切なシーンでは魔法に頼っていません。
特別な力が無くても、夢は簡単に消えたりせず
少なくとも大きな原動力にはなると知ったはずです。
おかあさんにまた会いたいという、とかげ?の夢は
寂しいけど、とても温かい気持ちも一緒にある事を知った時に
やっと夢は悪いものじゃないぞ、と感じて
力が大きすぎて厄介にも見えたものを、自分のものにしたのではないでしょうか。
夢は立派な魔法使いになることだ、挫けない魔法だ!と
きっと叶いますようにとお守りを託すように
お互い夢を大切にしようねと約束するように
星の飾りを手渡すんです。