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肺高血圧症に対する心臓リハビリテーション①~定義、病態、運動療法の効果~


こんにちは!🌞
理学療法士のまるです。

前回は心疾患患者に対するレジスタンストレーニングについて書きましたのでぜひ見てみてください!



今回から連載シリーズとして私が現在研究課題として取り組んでいる
「肺高血圧症」に対するリハビリテーションについて論文を交えながらま
とめていきたいと思います!


 今回の目次は以下の通りです




①肺高血圧症の病態、定義


病態は様々ありますが、基本は以下の通りです。

肺高血圧症(Pulmonary Hypertention:PH)の病態は、
肺血管リモデリング、血管収縮や血栓などの肺循環病変による
肺血管抵抗(PVR)や肺動脈圧の上昇を特徴とする。

安藤可織,肺高血圧症の心臓リハビリテーション


PHの定義は、2022年に発表された欧州心臓病学会/欧州呼吸器学会のPH
診断・治療ガイドラインで心臓カテーテル検査で実測した
安静時の平均肺動脈圧(mean Pulmonary Arterial Pressure:mPAP)が20mmHg を超えるものとなりました。

PHは発症機序により、1群~5群に分類されます。
第1群:肺動脈性PH
第2群:左心性疾患に伴うPH
第3群:肺疾患/低酸素血症に伴うPH
第4群:慢性血栓塞栓症PH
第5群:詳細不明な多因子のメカニズムに伴うPH



②肺高血圧症に対する運動療法の効果

肺高血圧症に対する運動療法のRCTが報告されており、すでに
効果が示されております。

運動耐容能の改善の機序として、筋持久力の増加や、毛細血管密度、酸化酵素活性の増加、吸気筋力や肺血流量の増加、炎症や血管リモデリングの改善などが考えられています。


また、運動耐容能やQOLの改善に加えて、
循環動態が改善した報告もあります。

この結果より運動療法が肺高血圧症に対して
右心機能や肺循環動態を改善する可能性を示唆していると考えています。



③進行PHに対する運動療法:ネガティブスタディ

今まで、PHに対する運動療法の効果を示してきましたが、
一方で進行例(rat)における運動療法は生命予後の悪化、持久力の低下、
肺血管抵抗の上昇、心拍出量の低下、さらには肺血管のリモデリング増加を認めた
との報告もあります。

そのため、慎重な症例選択、重症例に対する介入、運動負荷の検討が必要になってくると思います。



④まとめ


今回は、簡単に肺高血圧症の定義や病態、運動療法の効果について書いてみました。しかし、肺高血圧症に対する運動療法はエビデンスはいまだ高いとはいえず、広く行われているとはいいがたいのが現状です。また、進行例への運動負荷は予後を悪化させる、肺血管のリモデリングを増加させるとの報告もあり、慎重な介入方法、運動負荷の検討が必要ではないかと考えています。


 
次回は、「肺高血圧症に対する運動処方の考え方」について書いていきます。
 
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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