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ロンドンのおばけの話

私は20代の頃、ロンドンでサリーという女性の大家さんの家の一部屋を借り、住んでいた時期があった。

3階建ての家で3階はサリーの部屋、2階に私の部屋、そして1階にはキッチンとリビングがあった。

その家は駅からも近く、素敵な家々が並んでいたし、内装も素敵で私はいいところを見つけたと喜んだ。

サリーは早く寝る人で、夜10時過ぎに帰宅すると、もう家は寝静まっていた。私はなるべく音を立てないよう、歯を磨いて、パジャマに着替えて寝床につくのが日課になっていった。

その家に住むようになって、数週間。私はあることに気づいた。夜中に誰かが自分の部屋のドアを開けて、のぞきにきてることを。

ほぼ寝ているから、ぼんやりとしか思い出せない。
だから、サリーが私が帰宅したかどうか心配して、夜中にのぞきにきているんだろうな、と思っていた。

ある晩のこと、私が寝ている時、やっぱり誰かがのぞきにきた。でもこの日はいつもと違かった。私の寝ているベッドに向かって走ってきた。

夢の中なのか、よく分からない。身体が硬直して動けない。私は両手をあげて、万歳した状態で寝ているのだけど、
その何かは私の上に馬乗りになって、私の万歳している両手に手を重ねた。

その手は小さかった。サリーじゃなかった。

翌朝、キッチンでサリーに聞いた。

「サリーは夜中に私の部屋に覗きにきてるよね?」
「まさか!そんなことしたことないわよ」

私は夜中に誰かがドアをあけて、のぞきにくること、
昨晩はその誰がか馬乗りしたこと、手が小さかったことを話した。

サリーはちっとも驚きもせず、にっこりしてこう答えた。

「ああ、それは女の子のおばけよ。この家に昔からいるの。
いたずらっ子なの」

サリーが楽しそうに話すから、私も怖がることではないんだなと安心した。

ある日曜日、サリーはデートで朝からいなかった。

私はリビングにある手触りのよいカーペットの上で足を伸ばし、本を読んでいた。テレビも音楽もない静かな日曜日のひととき。

その時、私のおしりの近くで

ぷぷーっ

おならの音がした。私はおならしていない。絶対にいたずらっ子のおばけの仕業に決まっている。

だから、言ってあげたの。

まったくーいたずらっ子なんだから!って。




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まる。
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