90歳男の生き様
俺をチャーリーと呼んでくれ
父が晩御飯の食卓でみんなに宣言した。
そのとき私は高校1年生だった。
高校1年生といえばすべてのことに
「けっ」と吐き捨ててしまうザ・反抗期。
なのに私は「おもしろいんじゃね?」と
ほくそ笑んでいた。
その晩から母も姉も私も父をチャーリーと呼びはじめた。
今年の9月で90歳になる今もチャーリーだ。
チャーリー宣言した時の父は49か50歳だった。
あの時と父と同じように50歳を過ぎた私。今になって思うのだ。
「チャーリーはカッコいい」
チャーリーは足は短いし頭はほぼ剥げてるし眉毛はボサボサだし、ちっともイケてる男じゃない。いや、イケてる父じゃない。
でも生き方がカッコいい。
俺の人生を生きている
堂々と自分の人生を生きていると思う。
チャーリーの生き様をあげてみる。
チャーリーの生き様
⚫️40歳〜89歳
カラオケ会を立ち上げ会長になる。地元の人が集まり集会所がカラオケの場となる。今も続く。50年も続いてるのはチャーリーが引っ張っているからだ。
⚫️50歳〜60歳頃
無線を趣味にする。無線のニックネームがチャーリー。
無線がきっかけで友人知人すべての知り合いにチャーリー宣言。
今も近所のひとからチャーリーと呼ばれている。
⚫️60歳〜82歳
地域のバス停の掃除を毎朝する。現在、地域の高齢化がすすみバスの利用者が減る。バスが通らなくなり、やっていない。
⚫️70歳〜76歳
横断歩道に立って小学生たちの安全を守る。誰にも頼まれていないし、勝手にやりはじめる。
現在はやっていない。
⚫️70歳〜89歳
空き地の掃除をはじめる。植物を植えて育て始める。市に声をかけベンチを設置してもらう。
人々の憩いの場所となる。チャーリーが”みんなの公園”と命名。看板もできる。
今も毎朝5時半に掃除に行く。
ひとりでずっと掃除していたけれど、コロナ期から近所の
おじさん達も手伝うようになった。
カラオケ会もみんなの公園の掃除もずっと続いている。
誰に何も言われなくても、何十年も続けている。
娘の私が言うのもなんだけど、なかなかこんなことできるもんじゃない。
だってお金ももらえない。
SNSで注目されてもいない。誰も知らない。誰かに称賛されるわけでもない。
でも地域のだれかを幸せにしている。
おしゃれな90歳
チャーリーはおしゃれだ。
白髪染めも自分でする。
フォーエバーヤングを目指している。
年に一度の一時帰国では私がゲジゲジ眉を整える。
チャーリーは眉毛も染めたりする。マスカラを自分で買ってきて眉毛に使う
90になるじいさんがドラッグストアでKATEのマスカラを選んでいる姿を想像してほしい。
最高にイカしてるチャーリー
これからも元気で
俺の人生
を生きてほしい。
大好きだよ。