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ビワの実の思い出

雨の日が続くと、散歩に行けなくてイヤになる。
だけど、梅雨にも楽しみはある。「ビワ」だ。

産毛の生えた橙色の実を手に取る。お尻(?)に親指を当てて、ていねいに皮をむく。さらに鮮やかになった橙色と、ほんのり鼻に届く香りがうれしい。

前歯を当ててビワの実をかじると、自分がウサギになった気がする。

大好きなビワだけど、不満もある。

美味しいけれど、満足感がないのだ。
歯はすぐ種に当たって、食べる部分はほんの少しだ。1つ食べるともっと食べたくなるけど、満足感を得るほど食べさせてはもらえない。

「種なしブドウがあるのに、どうして種なしビワはないのだろう?」

子どもの頃からの疑問を、妻にこぼすと「ビワって、美味しくないじゃん」と言われた。

そういえば、彼女はアボカドにも好意を持っていなかった。種が大きな食べ物が好きではない人には、「ビワ愛」は分かってもらえない。そう思うと、少し悲しくなった。

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