読んでもらえる文章の「2つの要素」
書いたら「読んでもらえる」と思うのは、自分だけ。だから大切なのは、言いたいことを「キチンと」伝えること。そして、感情を「イキイキ」と伝えることだ。「キチンと」「イキイキ」と伝えることが、読んでもらえる文章の「2つの要素」だと思う。
(1)言いたいことを「キチンと」伝える
「言いたいこと」は、相手に届いて理解してもらって「伝わった」ことになる。「キチンと」伝えるとは、「伝わるように書く」という意味だ。
伝言ゲームを連想して欲しい。「伝えようとしても伝わらない」のは、当たり前のこと。それほど「正確に伝える」のは難しい。
「言いたいこと」を書いても、「言いたいこと」は伝わらないのだ。必要なのは「相手に届けたい」という思いやりと、伝えるための技術。
「伝えるための技術」は、しゅーぞーさんが「常に90点の文章を書くコツ」で、具体例をあげている。
(2)感情を「イキイキ」と伝える
言いたいことを「キチンと」伝えることができれば、コミュニケーションとして合格ラインをクリアだ。ただし、読んで「もらえる」ラインは、もっとハードルが上がる。
還暦を過ぎると、同窓会のお知らせが増える。先を見るのではなく、過去をふり返るようになるのかな。同窓会での会話を、例にしてみよう。
「最近、何してるの?」
「家に居るよ」
「そうか」
……やり取りが目に浮かぶけど、感情を「イキイキ」と伝える会話じゃない。
「最近、何してるの?」
「SNSをはじめて、これまでなら出会えなかった人と交流できて、面白いよ。中には、ドイツ人と結婚してドイツに住んでいる人もいるよ」
「へぇ!!」
「SNSをきっかけに、キンドル出版も始めたんだ」
「え、キンドル出版って何?」
SNSを始めたという「具体的なエピソード」があるだけで、ずいぶん印象が変わる。これだけでも充分だけど、「SNSの面白さ」を五感を使った表現で表すといい。たとえば……
「家に居るんだけど、何だか目の前の世界が一気に広がった感じが、するんだ」と表現すれば「面白い」よりも、ずっと「イキイキ」した感情が伝わるんじゃないかな。
ぼくにとって、お笑い芸人「ティモンディ」の高岸さんの印象は「プロ級の野球人」だったけど、「食レポ」の上手さで、印象が変わった。
「美味しい」というだけなら、誰でもできる。「美味しさ」を、どう伝えるか。そこに、「食レポ」の価値がある。五感を刺激する表現が、「上手い食レポ」だ。
やり過ぎると嫌みになるけど、書くときに「上手い食レポ」をイメージするのも、ありだと思う。