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生命保険

つい先日、保険会社の担当者と直接話してきました。


生命保険加入の経緯

私が高校生のころに、ある日父親に保険の手続きと言われ近所のファーストフード店に行きました。スーツを着た人に何か説明されたと思いますが、ほとんど記憶はありません。
家族仲は良好で信頼していた父親の言うことなので保険の手続きのため書類に署名をしました(あとから父に聞いたところ、勤めていた会社で保険の説明会がありそれをきっかに家族で加入したとのこと)。

そのまま月日は流れ、父親が定年となり、あるとき母親から今まで支払っていた保険料のことを伝えました。
終身保険、がん保険、医療保険に加入しており、年間それなりの金額をはらっていると。
その時点では、私はそのことをあまり把握していませんでした。
父親に確認すると、「月で割ったらこれくらいなんだから、いいんじゃないの」と。

そうか?なんでも割ったら安いと思うでしょ。と疑問を持ちながらも、医学部在学中は親の扶養下であったので、私には決定権がないような気がして、父親の意見を覆すために行動を起こそうとはしませんでした。

その後、仕事を始めてある程度落ち着いて、もう自分自身のことは自分で責任を持とうと思い、保険も見直そう。まずは契約状況を把握しようと。

担当者と会ってきた

そんな経緯で保険会社の担当者に会うことにしたのです。
契約の署名をしたときから10年以上は経っていたので、当時の担当者ではありませんでした。
私から連絡があるまでは、その担当者は全く私のことを把握していなさそうでした。オンラインより、直接会う方が人となりが分かってもらえるから、と対面で説明いただくことにしました。

担当者は自己紹介のシートを渡してきて、50代の男性でお子さんが多くて、色々チャリティーとかもしていますと。
見た目は自分に自信がありそうなおしゃれオジ風。当日はゴルフがキャンセルになって一日暇でしたと言っていました。

私は、これまで基本的には健康だったので、そもそもこんなに保険をかける意味ってないだろと思っていて、おしゃれオジ風担当者の説明も「あ~、ん~。へえ~」っという感じで相槌をうちながら聞いていました。
そのオジ担当者は説明の合間に職場とか、職業とか、NISA/iDeCoやってるか、とか聞いてきて、私はあまり個人情報を共有したくなかったので曖昧に答えました。しつこいので医療職であることは伝えました(医療費とか病気のリスクとか知っていますよということを暗に示すために)。

私のリアクションのなさが気に食わなかったのか、説明の最後の方には、私が曖昧に答えた質問にたいしてまたしつこく聞いてきたり、しまいには結婚の予定はとか聞いてきました。
正直失礼だなと思い、信頼感は持てませんでした。

この方は同じ保険会社に25年近く勤めていて、昭和・バブルのマインドセットをお持ちであるようでした(偏見かもしれません)。
担当する顧客に頼まれて、飲食店の紹介をしたり、家族の愚痴を聞いたりとか雑用をすることがあるそうですが、それも驚きました。

顧客である私に、担当者の人柄や生命保険にネガティブな感情を持たせた対応は、プロフェッショナルではありません。私をその場限りでも納得させる能力もありませんでした。

結論

「生活基盤が日本であれば生命保険はやっぱり不要。特に医療保険は加入を考える余地もない。」

契約によりますが、残念ながら、満期まで払い続けたとして大した額もらえるわけではありません。
そもそも日本の医療費は非常に安いです。退院間近の患者さんの机に置かれた入院を合わせた医療費の概算が書かれた紙を目にすることがありますが、たいてい10-20万円程度です(1-2週間の高度治療を必要としない入院で)。
入院するとしてもその程度です。高度治療が必要な場合はそうなる確率はそう高くはありませんし、高度治療をしたからと言って治るわけではないです。
それよりも、きちんと健診・検診をうけたり、食べ物や運動に気を付けたり、リフレッシュすることに時間やお金を使う方がよっぽどメリットが大きいと思います。勉強にお金を使うのもいいと思います。

日本は現時点では非常に安全で衛生レベルが高く、医療費は安く、もうそれだけで十分です。

民間保険のお勉強

日本以外の国は民間保険をどうとらえているのかなと思い、検索してみました。
そもそも保険には分類があり、生命保険(life premiums)と損害保険(Non-life premiums)に分けることが出来ます。
生命保険は個人の生命に関するリスクをカバーします。損害保険は個人の健康に関するリスクや、家や車などの物理的資産の損失や損害をカバーします。

損害保険はとても分かりやすくて、レンタカーを借りたときに入る自動車保険、海外旅行のときに入る旅行保険などがそれにあたります。
レンタカーを1日借りて事故を起こさなければ、保険料はそれでおしまい。
海外に7日間行って、荷物も取られず、パスポートもなくさず、現地の病院に行くこともなく無事に終わればそれでおしまい。
これが安心を買うということですね。
私が入っていた医療保険(民間)もこれにあたります。入院や手術があれば1日いくらという形で支払われる。でも、サブスクのように自動更新であるので本当に無駄だと思います。前述のように日本の医療費個人負担額は安く、適応の制限も広いからです。

生命保険は損害保険のように掛け捨ての場合もありますが、損害保険にはない積立も多いです。積立ては、例えば50歳とか60歳まで保険料を払い続けて、それ以降の年齢からはある程度まとまった形で給付を受け取ることができます。
要は「保険会社があなたの代わりに代わりに積み立て形式でお金を取っておきますね。」というサービスとして購入しているということになると思います。

さて話は戻って、国別の比較ですが、下のテーブルは Insurance Information Instituteは1959年設立の米国のNPOで、通称Triple I(III)と呼ばれているそうですがこちらが公開していました。
日本の損害保険料は第8位ですが、生命保険は第3位です。

引用元: Insurance Information Institute
上位10カ国の民間保険の直接保険料収入額(100万ドル単位)

下の二つのテーブルは、Triple Iのデータから作成して見やすくしました。
こんなに安全でルールを守って、社会保険が整っている国でこんなに民間保険に入っているなんて!損害保険は納得できますが、問題は生命保険ですね。生命保険優位のバランスになっています。
お国柄、国民性、教育、政治を表しているなと思いました。On timeで重要なリスクよりも不確かなリスクを心配していて、なんだか安心するから積み立てがいい、と。

引用元データより作成:生命保険及び損害保険の保険料収入が上位10カ国のランキング
引用元データより作成:各国の生命保険と損害保険のバランス


父親が生命保険に加入することにし、そのまま見直しもせずにずっと保険料を払い続けているのは、正しい情報を調べたり、本を読んで勉強したりしなかったからだと思います。その習慣がなかった。
仕事、家庭でいっぱいで、その習慣を作れなかったのかもしれないです。でも、無駄な支出を減らしたりや自分を守ったりできるよう、学ぶことにお金や時間を使うべきで、それが一番リターンの高い投資だと思います。
ネット記事やSNSで手軽な情報を眺めるだけでなく、きちんとしたデータベースや文献、書籍から学んでいくことが重要であることを痛感しました。

一度決めたことを変えるのは、自分を否定しているようでなかなか手を付けにくいですが、何かを始めたら定期的にどのくらいの意味があるのかということを見直すマインドを持ちたいと思います。これは日本の色々な面で言えることだと思います。個人、家族内、学校、会社、政府。

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