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【国選弁護】聞いたことあるけどよく知らない、そしてとっても大事な制度

国選弁護シンポジウムに行ってきました

地元開催ということで、現地参加することが出来ました。
内容は「取り調べの立会い」と「逮捕からの国選弁護」。

捜査機関の取り調べに問題があるのでは?ということが取り上げられること増えましたよね。
現在は、被疑者や参考人がたったひとりで取調室に入らなければいけない状況です。
再審無罪になった袴田さんの事件では過酷な取り調べについて報道されましたし、プレサンスや大川原化工機などのえん罪事件も注目されています。
また、弁護士や支援団体の方が熱心に活動され「人質司法」という言葉も知られるようになったと思います。

問題のある取り調べは、大きい事件だから起こるというわけではなく、マスコミが取り上げないような個人の事件でも当然起こっています。

シンポジウムでは実際の取り調べの様子がいくつも上映されました。

札幌の取り調べの事例では、女性検事がお子さんを亡くした被疑者女性に対して良心の呵責を感じさせようとする言動の数々がありました。
あれを見る限り検事は口調さえ優しければOKと思ってるのかな・・・
だとしたら、いくら録音録画したところで問題解決にならないと思いました。

捜査機関が問題点を認識するためには、取り調べでの弁護人の立会いが一番確実で、そうすればその場でチェック機能が働くことになるんですよね。
あの録音録画の上映の、画面下方に出していた注釈コメントを、隣に弁護人がいてその場でやってくれたらすごく心強いと思いました。

立会いなし(現実編)と立合いあり(未来予想図)を比較した再現ドラマもイメージしやすく、大阪弁護士会の西さんの「弁護人が選任されるまでが捜査機関にとってのボーナスタイム」という言葉が実態を表していると思いました。

「取り調べの立会い」に関連して、逮捕直後から続けて弁護人が関わるためには、「逮捕からの国選弁護制度」も充実していくべきで、金沢弁護士会の高見さんが説明された「一本化」はぜひ実現して欲しいです。

日本では刑事事件で裁判にかけられるとき、弁護人をつけることが出来ると憲法で決まっています。でも、弁護人を雇うにはお金がかかりますよね。
だから、すべての人が弁護人をつけることができるよう、国がその費用を負担して弁護人を選任するというのが国選弁護制度です。

なんですが… これ結構ややこしい仕組みみたい。
対象はすこしずつ拡大しているのですが、国選を使えない場面があります。
例えば逮捕直後から勾留が決まるまでの間だったり(当番弁護士は利用できます)、選任した弁護人が勾留請求却下や準抗告を頑張った結果 釈放されたら、なんとここでも国選を解任されるんです。被疑者としては路頭に迷うような気持ち・・・負担もデメリットも大きすぎます。

市民感覚としては「国選」って権利として誰もが利用できる制度なのかと思うのに、そうじゃない部分があるってことに驚きです。
シンポジウムの話題にはならなかったのですが、ものすごく時間も労力もかかる再審請求も、国選弁護が利用できないんですよ。これについても改善して欲しいです。

普通の市民は刑事司法のこと知らないんです


普通の市民として弁護士さんたちに知って欲しいのは、いかに一般市民が司法のことをなんにも知らないかってことです。
だから何かが起こった時に初めて調べることになるんですが、もしその何かが「逮捕」となると、もう調べることさえも出来ない訳で・・・

逮捕後すぐに弁護人とアクセスできることは大事なこと。
その時に、弁護人が被疑者の「わからなさ」を想像できていれば、伝え方や言葉の選び方も変わってくると思うし、被疑者が弁護人を「味方だ」と感じられることが出来たら、安心と安全の両方が得られると思います。

私自身は傍聴するようになる前は「国選」はふわっと聞いたことある程度、当番弁護士を知ったのは傍聴し始めてからだし、勾留されないと私選になるってことは身近で見聞きして初めて知りました。
そして取り調べを受けるようなことがあっても「ちゃんと話せば分かってもらえる」と信じてました。
今はその恐ろしさが想像できるようにはなりましたが、かといって黙秘できるタイプの人間じゃないのがまた恐ろしい・・・


ちょうどこんな記事を見つけました。

関心をもつ人ほどリテラシーが高まる結果に!?
刑事司法は人権問題に直結することなので、どんどん知る機会が増えるといいですね。

アーカイブ配信

このシンポジウムは後日、日弁連HP でも配信されるようです。



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