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ダルク視察と、傍聴で知る薬物事情
更生保護団体の研修でダルクを視察させていただき、支援者の方と当事者の方からお話を聞きました。私の住む自治体にダルクはないので、見学したのは隣県の施設です。
ダルクは薬物などの依存症に苦しむ方が、生活を共にしながら回復の道を歩む場です。
薬物依存は「病気」であり、「心の病」「関係性の病」とも言われます。医療だけで回復するのは難しいのが現状で、依存の背景にある本人の抱える問題をひとりで解決することも困難です。
ダルクは当事者が支え合う「セルフヘルプグループ」として活動しています。人と関わりながら関係性を取り戻し、自分の価値を認めることで自分の人生を自由に選択する力をつけていくリハビリ施設であり、居場所にもなっています。
具体的な活動は、当事者同士のミーティングがベースとなっていて、ここで人の話を素直に受け止めたり自分のことを正直に話す経験をしながら「安心」を得ていきます。こちらのダルクでは協調性を養うプログラムとして和太鼓に取り組んだり、地域の清掃活動なども行なっています。また、食事当番などで自立に向けたスキルも身につけていきます。
お二人の方から依存症のことやダルクに来るまでの経験を聞きました。家庭環境はごく普通にも思えるのですが、それぞれに自分に自信が持てなくなっていく(そう思わされる)ような背景がありました。お一人がご自身の肌を指差して「刺青は自傷行為」だと言っていましたが、薬物やアルコールも同じ面があるように思います。
ダルクで生活する中で、「自分を許す」ことや「自分は変な奴だと認める」ことができるようになってきたということでした。また「いい意味での諦めが必要」というお話もありましたが、自己責任論の強い現代社会では多くの人にも共通することなのではないでしょうか。
帰り道、バスの中で裁判傍聴で知る最近の薬物事情などをテーマにお話しさせてもらいました。
まず、なぜ薬物の使用が禁止されているかを説明した上で、若い世代に大麻所持で裁判になる事例が増えている実態や、薬物を手に入れやすい社会の状況、また裁判事例からみる被告人の事情を取り上げて問題点を確認し、最後に地域の更生保護活動として何ができるかについても話題提供してみました。
地域には色んな人が暮らしています。その中には罪を犯して服役し、今は社会に戻ってきた人も当然いるはず。そんな方々が穏やかに生活できているならそれでいい。でもみんなで「排除」してきた結果、ひっそり暮らしている人もいるかもしれません。その結果「孤立」すれば、また次の問題を生んでしまうのが心配です。
人とのつながりがあれば解決することや、支援に繋ぎやすくなることがあると思います。他愛のない話をするご近所さんが、小さな困りごとを相談できる「身近な人」になっていく、そんな関係になるのが理想です。とはいっても本当に人付き合いが難しくなりました… せめても、排除する側にならないようにということは心がけたいと思っています。
観光でたくさん歩いた後だったので、みんな寝ちゃうかも…と思いましたが、「しっかり聞いたよ」とか「最後までいい勉強になった」と言っていただけました。
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