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「ライオンのおやつ」小川糸著 感想②

「ライオンおやつ」小川糸さん著

死ぬのが怖くなくなる本。
読んでいる途中から感じていたことは、「この本を読んだら死ぬのが怖くなくなるかも」ということでした。

〈あらすじ〉
余命を告げられた33歳の主人公が最期の日々を過ごす場所として選んだ場所は、ある島のホスピスでした。そこでの数ヶ月の日々が丁寧に綴られています。
毎日提供される様々なお粥、毎週日曜日の入居者のリクエストで作られる思い出のおやつ。そんな食べ物のひとつひとつに、ボロボロだった主人公の心と体が癒やされていきます。
おやつもお粥もどれも美味しそうなんです。

「戦時中に台湾で育った男性の豆花。」
「あの時パリで食べたカヌレを超えるカヌレには会ったことがない。」
「お母さんが自分にだけ作ってくれた牡丹餅」
「主人公がお父さんの誕生日プレゼントに作ったミルクレープ」

島で作られるワインも、主人公が持ち歩いたサンドイッチも、小豆粥も百合根粥もどれもこれも美味しそうで。

そして描写される島や海の風景。

島やホスピスのモデルがあれば知りたいなと思って調べたら、モデルはないのですが著者がこの本を書いたきっかけを知ることができました。ご自身のお母様が癌になって、死ぬのが怖いとおっしゃっていたこと。「死ぬのが怖くなくなるような本を書きたい。」と思ったそうなんです!まさに、私の感想!

「『最後の食事』はすぐに思いついても、『最後のおやつ』はなかなか思い浮かばない方も多いと思います。だけど、人生の最後にもう一度食べたいおやつを思い出そうとすると、そこに結びついているのはたいてい幸福な記憶だと思うのです。自分の人生が幸せだったと気づけるきっかけになる気がします。お粥も心とおなかにやさしいから、この小説もお粥みたいな物語になるといいな、と。食べることは生きること。美味しいものを食べた時の幸福感や、次はあれが食べたいと楽しみにする気持ちは、生きる喜びにつながると思うんです」小川糸さん ダ・ヴインチWebインタビューより



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