紙袋流プロットの作り方

 Wave箱にきた小説や文章の書き方系の質問に答えていってみるの回。
 まずはこちら!


 うぇーい!
 褒めてくださってありがとうございます!
 まるはわりと情景が動画だったり漫画形式だったりイラストで
頭に浮かぶので、それを頑張って文章にしているタイプの文字書きです。
 なので、情景が頭に浮かぶと言ってもらえるとめちゃくちゃ嬉しいです!
 やった~!

 そしてプロットの立て方。
 これ、ちょこちょこ聞かれるので、今回はこうしてnoteに回答をまとめてみることにしました。

 まるのプロットなのですが。
 まず最初にテーマ決めちゃうことが多いです。
 メモの先頭にテーマを箇条書きで書きます。
 他にも書きたいことが決まってたら、どんどこ箇条書きで書きます。
 で、その箇条書きの状態のネタをどうつないでいくか、を考えてプロット化していくことが多いです。
 今ぼや~っと考えてる話でいうと、

・フロ監かジェイ監でDom/Sub書きたいな
・ウツボは屈強なSubで監督生が貧弱なDom
・おすわり! にうっかり反応するSubウツボ
・日本語のみコマンドとして発動する監督生
・わんちゃんエロにチャレンジ
・Dom/Subだけどカラッとした手触りの青春ぽい感じ
・ジェイ監なら男装が結構後半までバレずに、なんか男同士のわちゃわちゃ感

 って感じです。
 5番目と6番目、なんかテーマが矛盾しているので、ネタ出ししていくうちにどっちかに決まる気がします。
 もしかしたら欲張って両方成立させるルートにいくこともあります。
 人間の脳みそって3つ以上のこと考えるのが苦手なので、
 こうしてやりたいこと書きだしたほうが整理できるんですよね。
 で、これ眺めながらもちょもちょネタ出しをしてメモ増やしていく感じです。

 次に。
 10万字以上の文章を書くときに、どうやってプロットをたてているか。
 これなんですけど、「10万字の話かくぞ!」って思わないほうが良いかもしれないです。
 まるはあんまり「10万字以上の話かくぞ」とは思って書いてないです。
 気づいたら10万字こえてるんですよね。
 っていうと、「意識せずに出来る自分はすごい自慢か」みたいに思われてしまいそうなんですけど、
 これは考え方の違いというか、意識の持ち方、で。
 「10万字の話を書こう」じゃなくて「1万字の話を10話書こう」というか。
 「3~4万字程度の話を3話書こう」みたいな。
 そういう感じでまるは考えています。
 というか、本当そういう風に考えると、気づいたら「10万字こえてる」って感じになるんですよね。
 以下に、実際にまるのやり方を実際に36万字というアホな文章量になってしまったものを例に説明してみますね。

 別窓で、まるの書いたジェイ監小説「肉と骨」を開きつつ見てるとわかりやすいと思います。

 この「肉と骨」という小説は、ざっくりわけると4部構成になってます。

①肉と骨(71,895文字)
テーマ:覚悟ガンギマリ生き急ぎ監督生に振り回されるジェイド先輩+オクタの皆さん
監督生とオクタの導入。
監督生の女バレ。
ジェイド先輩が監督生を意識する

②ほねぬき(51,336文字)
テーマ:監督生とフロイド先輩がなかよちになる
監督生とフロイド先輩のわちゃわちゃ。
生理ネタ。
フロイド先輩と監督生が仲良くなる回。

③手掴みパーリナイ(31,232文字)
テーマ:海鮮手掴み楽しかったからネタにしたい
オクタと監督生が海鮮を手づかみで食べにいく話。
なかよち回。

⑤貴方の海(211,215文字)
テーマ:ハリウッド映画みたいなドッカンバトル
監督生の身柄をめぐるどったんばったん。
監督生とジェイド先輩がカップルになるまで。

 こんな感じ。
 まるは36万文字書くつもりでこのシリーズを始めておらず、むしろノープランでした。
 ①~③まで書いている間は特にあんまり大きな流れみたいなことは考えておらず、一話完結型の短編連作みたいな感じで日常ラブコメみたいなのを書いていこうかな、ぐらいに考えてました。
 方向性が変わったのが④の「貴方の海」を考え始めた頃で。
 「貴方の海」のコンセプトが、「120分ハリウッド映画っぽくドッカンバッコン派手にバトル入れたい」でした。
 なので、このコンセプトに合わせてプロットを考え始めました。

「120分ハリウッド映画っぽくドッカンバッコン派手にバトルを入れる」ことを考えたときに、まず敵はどうしようかな、と考えました。

 監督生がヒロインなので、ヒロインを狙う敵組織が欲しいな~。
 じゃあ監督生が狙われる理由を考えるか、ということで。

・監督生は魔力を持たない。
 魔力を持たない人間がツイステッドワンダーランドにおいて狙われる理由。
 魔力がないことがメリットになる事案。

 そこから、

・精霊の卵
 自然発生的に生まれる魔力の塊。
 魔力をもともと持っている人間だと、魔力を吸い尽くされたりする。
 でも魔力をもとより持たない人間であれば精霊の卵を体内に受け入れることで、膨大な魔力を手に入れることが出来る。

 という設定が生まれました。
 なので、軸として、

「魔力を持たない監督生は、精霊の卵の器になることができる。その監督生の身柄を狙うヤツVSオクタ」

 というストーリーラインができました。
 次にその「狙われた監督生」がどう動くか、ってところを考えたときに。
 この「肉と骨」というシリーズって、
「生き急いでいる覚悟ガンギマリ監督生に振り回されるオクタ」が見たい、という気持ちで始めてるんですよね。
 なので、狙われた監督生にはやはり生き急いでほしい。
 覚悟をガンギマリになってほしい。
 じゃあ監督生の覚悟がキマる理由が欲しい。

・ツイステッドワンダーランドで生きていくための基盤を作りたい監督生。
 ジェイド先輩のことが好きだからこそ、ツイステッドワンダーランドで一人でも生きていけるようになりたい。
 だから覚悟を決めて戦うことを選ぶ

 という感じで、監督生の行動指針が決まりました。
 ここまでくると、

「魔力を持たない監督生が、精霊の卵の器として狙われることになり、監督生はツイステッドワンダーランドでも一人で生きていけるだけの生活基盤を手に入れるために悪の組織と戦うこと決め、それを助ける形でオクタは監督生を狙う連中と戦うことになる」

 というメイン軸が決まりました。
 じゃあ次に、「監督生が考えるツイステッドワンダーランドで一人でも生きていける基盤」ってなんだろう、と考えて。
 今監督生って戸籍もなく、親や家族もなく、財産も何もない状態なので。
 そういった諸々が保証される状況、というのが監督生の考える「生活基盤」だと思ったんですよね。
 じゃあそれを監督生に与えられる人物って誰かなって考えたときに、レオナ先輩、マレウス先輩、カリム先輩の三人が脳裏に浮かんだわけです。
 この三人なら、監督生に戸籍を与えられるな、と。
 で、よく感想で「まるさんの書くレオナ先輩が見たいです」というのをいただいていたので、じゃあレオナ先輩も巻き込もう、と決めました。

・レオナ先輩、引いては、夕焼けの草原の王族に恩を売ることで将来の保証を手に入れる監督生

 というゴールです。
 なので、

「魔力を持たない監督生が、精霊の卵の器として狙われることになる。他にも精霊の卵の器の候補としてはレオナも上がっているが、生まれつき魔力を持つレオナでは失敗する可能性が高い。だが、王族の責任として精霊の卵の器となる覚悟を決めているレオナ。監督生は魔力を持たない、という自分の特性を生かし、レオナの代わりに精霊の卵の器になることを決める。もしそれが上手くいった場合、監督生は夕焼けの草原より身分の保証を受け、ツイステッドワンダーランドにおける公式な居場所を手に入れることができる。だが、精霊の卵の力を狙った悪い連中が監督生を狙って儀式の妨害をするため、オクタ+レオナが護衛についてドッカンバッコンハリウッド映画バトルを繰り広げる」

 というメインストーリーが決まりました。
 で、そこからストーリーの組み立てが始まる感じです。

・監督生が戸籍がない、居場所がないことのデメリットを感じるシーン
・レオナ先輩と監督生の関係を見せるシーン
・監督生が狙われてるぞ、というのをチラ見せするシーン
・監督生が襲われるシーン
・監督生が何故襲われたのかの開示シーン(精霊の卵の説明)
・レオナが精霊の卵の器として犠牲になるかもしれないという状況の説明
・監督生がレオナを助ける覚悟ガンギマリシーン
・悪いやつらとドッカンバトルするシーン

 大体こういう構成でいこう、と決めました。
 二番目に「レオナと監督生の関係を見せるシーン」を入れたのは、監督生とレオナ先輩がそれなりに親しくないと、監督生がレオナ先輩のために命を張った勝負に出る理由が弱いな~と思ったからでした。
 監督生とレオナ先輩のシーンを入れることで、後々監督生が自分のためでもあるけれど、 レオナ先輩を死なせないために覚悟を決めるシーンの説得力を増したいな、という気持ち。
 で、ここからはもうパズルみたいな感じで。
 最初のほうと繰り返しなんですけど、まずテーマを決めて、そこから逆算する感じでここまで進めてるじゃないですか。
 「ハリウッド映画みたいなドッカンバトルしたい→狙われる理由」みたいな。
 なので、先にドッカンバトルの内容を決めようと思いました。
 ドッカンバトルはみんなにかっこいい見せ場を作りたかったので、それぞれの見せ場を考えました。

・アズール先輩→レオナ先輩のユニーク魔法をレンタルしてきて、すべてを砂にする

 これはもう自分の中でめちゃくちゃ見たかったので、最初に決まりました。
 アズール先輩にキングスロアの詠唱してほしかった。
 そのシーンがあまりに書きたかった。

・ジェイド先輩→人魚姿で召喚されて、空を泳ぎまくってほしい

 これもすごく見たかった。
 空を泳ぎ、縦横無尽に暴れるジェイド先輩を書きたかった。
 で、本当はただの読み切りというか、まる自身が海鮮手掴みレストランに行って楽しかったのを、
 レポ漫画ならぬレポ小説のつもりで書いてた「手掴みパーリナイ」の中で、人魚の歌についてを書いてたのを思い出して。
 じゃあジェイド先輩には歌で殺してもらおう、と思いました。

・フロイド先輩→アズール先輩の護衛

 フロイド先輩は物理暴力&人魚ジェイド先輩のサポート兼アズール先輩の護衛、みたいな。
 なんだかんだ我の強い二人のサポート、縁の下の力持ち、みたいなポジションに落ち着いてるのがみたいな~と思ってました。

・レオナ先輩→チェスやるみたいに作戦指揮

レオナ先輩は王族なので前線には出られないだろうな~というのと、アズール先輩にユニーク魔法を貸し与える理由が欲しかったので、「自分のために監督生が戦っているのに前線に出られないもどかしさを抱えつつも、指揮官として冷静に指示を出し、自分の最大の武器を前線に立つアズール先輩に貸し与えるレオナ先輩」という感じにしました。

 こんな感じです。
 で、また逆算で。
 ジェイド先輩を監督生が召喚するならば、本来魔法が使えない監督生がジェイド先輩を召喚できる理屈を考えないとな、となり。
 ジェイド先輩らがわりと他の人魚たちとは見た目が違うことから、魔物よりの原初の人魚、という設定をはやしました。
 また、監督生が召喚魔法を使う、というよりは、監督生が合図を送ることでジェイド先輩の方から監督生の元に向かう、というイメージになり。
 それなら、監督生に何かジェイド先輩とのつながりになるようなアイテムを持たせる必要があるな、ということで、

・監督生が戸籍がない、居場所がないことのデメリットを感じるシーン
・レオナ先輩と監督生の関係を見せるシーン
・ジェイド先輩が監督生にピアスを贈るシーン
・監督生が狙われてるぞ、というのをチラ見せするシーン
・監督生が襲われるシーン
・監督生が何故襲われたのかの開示シーン(精霊の卵の説明)
・レオナが精霊の卵の器として犠牲になるかもしれないという状況の説明
・監督生がレオナを助ける覚悟ガンギマリシーン
・悪いやつらとドッカンバトルするシーン

 という感じで、ピアスのエピソードが追加されました。
 これでまあ、だいたい物語のメインラインができました。
 じゃあ次にどうするか、という話なんですけど。
 この要素をエピソード化していくんですよね。
 質問の中に、「書いてる途中に飽きない方法」ともあったんですが。
 まるは、この要素を大体エピソード仕立てにします。
 どういうことか、というと。

・監督生が戸籍がない、居場所がないことのデメリットを感じるシーン
・レオナ先輩と監督生の関係を見せるシーン
・ジェイド先輩が監督生にピアスを贈るシーン

 この3つの要素を埋めるために、

「身分証明書をもたない監督生が不幸な偶然の重なりから学園に戻ることができない迷子になり、監督生は街で心細い想いをする。一方監督生が帰らないことから実は監督生のことを女だと気づいていて、密やかに気にかけていたレオナは、オクタヴィネルが何か仕掛けたのではないかとモストロラウンジに凸り、凸られた人魚たちは人魚たちで、レオナが監督生に何か仕掛けたのではないか疑うというアンジャッシュ。人魚組、監督生はそれぞれ監督生の存在が公的には保証されない危うい存在であることを改めて思い知り、ジェイドは監督生がどこにいっても見つけられるように目印となるピアスを贈る」

 というエピソードを作りました。
 これって、メインストーリーで言う

・監督生が戸籍がない、居場所がないことのデメリットを感じるシーン
・レオナ先輩と監督生の関係を見せるシーン
・ジェイド先輩が監督生にピアスを贈るシーン

 この部分をやるためのエピソードなんですけど、こうして物語にすることで、ただ説明するだけじゃなく、起承転結ができて書いてて面白くなるんですよね。
 エピソードの中に見せ場があるので。
 この部分だと、オクタVSレオナ先輩のアンジャッシュも書いてて楽しい見せ場だし、ジェイド先輩が監督生にピアスの穴をあけるシーンも書いててめっちゃ楽しかったです。

 これをまるは縦のライン横のライン、と呼んでいて。

・監督生が戸籍がない、居場所がないことのデメリットを感じるシーン
・レオナ先輩と監督生の関係を見せるシーン
・ジェイド先輩が監督生にピアスを贈るシーン
・監督生が狙われてるぞ、というのをチラ見せするシーン
・監督生が襲われるシーン
・監督生が何故襲われたのかの開示シーン(精霊の卵の説明)
・レオナが精霊の卵の器として犠牲になるかもしれないという状況の説明
・監督生がレオナを助ける覚悟ガンギマリシーン
・悪いやつらとドッカンバトルするシーン

 このメインストーリーにあたる部分が縦のラインです。
 イメージ的には海外ドラマとか、アニメの1クール。
 で、横のラインというのが実際の話数、という感じです。
 だから、
 
・監督生が戸籍がない、居場所がないことのデメリットを感じるシーン
・レオナ先輩と監督生の関係を見せるシーン
・ジェイド先輩が監督生にピアスを贈るシーン

 この部分を見せるためのエピソードとして一話起承転結のあるお話を書いた、っていう感じです。
 こんな感じで、どんどんエピソードを作って、詳細プロットを作っていきます。
 どんどこ詳細に作りこんでいくので、まるのプロットは最終的に5万~6万字ぐらいまで膨れ上がります。
 
 こんな感じで、

・まずは縦軸の物語の要素を決める(簡易プロット)
・要素を見せるためのエピソードを考える(詳細プロット)

 みたいな感じで膨らませていくと、気づいたらすごい文字数になってる、という感じです。
 仕事とかみたいな感じで上限の文字数が決まってるときは、エピソード削ったりして調整します。
 要素をエピソードで書きたいけど、エピソードとして膨らませると文字数がかさむので……。

 まるはこういう感じで詳細プロットを作り、
 その詳細プロットを元に、実際の小説を書いていきます。
 でも「貴方の海」を読んでくださった方はお気づきだと思いますが、
 小説として書いてるところで、ハリウッドっぽいドッカンバトルにグリムも加えたくなったので、グリムとフロイド先輩がコンビで囮になる、という見せ場に変更になってます。
 こんな感じで詳細プロット作ってても、実際に書きながらちょいちょい変わっていったりもします。
 オマケに実際のまるの詳細プロットも置いておきます。

貴方の海詳細プロット
PASS:kamibukuro

です!


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まるいの
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