だいじょうぶ
ほんとうに、つらいことがありました。
自分の身に降りかかってくるまでは、だいじょうぶだろうと思っていました。
でも、ちがいました。
自分の物差しで測ってはいけないのだ、ということを学びました。
危うく、人一人の人間の将来を潰すところでした。
同じ病にかかっていても、個人個人で深刻さや受け止め方がまるでちがうのだと知りました。
自分の物差しで、人の目の玉をほじくり返すところでした。
それを導いてくれたのは、かなり年上の人たちでした。
自分より多少長く生きているからというだけで、いまここになにが起こり渦巻いているかを判るはずがないと思い込んでいました。
でも、彼らのいうことは、とても易しくシンプルなことでした。
同じ病でも、ベースの人間がちがうのです。
彼らはそれを丁寧に教えてくださいました。
自分が打ち叩くべきなのは、その人間ではなく、わたし自身のハートなのでした。
忘れていました。
病は、その人間にとってはとても重たく、一人きりで背負うことはできないのだということを。
危うく、自分を見失うところでした。
そして一人の人間を壊すところでした。
もう一度、チャンスが貰えるのなら、ただ背中を擦って「だいじょうぶ」といってあげたい。
そう強く思いました。
人に優しく、自分にも優しく。
そうありたい。