脱炭素化へのグローバルな取り組み【SDGs、ESG、TCFD、CDP、SBT、RE100】Part2
皆さんこんにちは。
前回はタイトルの内のSDGs、ESGについてご案内しました。
今回はその続きでTCFD、CDP、SBT、RE100とご案内していきます。
これらは国際的イニシアチブと言われるもので、私は当初このイニシアチブという言葉の理解に苦労しました。
と言うのも我が国ではこのイニシアチブと言う言葉は、「イニシアチブをとる」と言ったように、「主導権を握る」「率先して行動する」として日本語に組み込まれていたためです。
そのためSBTは国際イニシアチブですと言われても「?」となってしまうのです。
イニシアチブには以下のような意味があります。
自らの決定や決断力、率先、独創力、進取の精神
主導権、指導力、先導力
改善策、新計画
取り組み
構想、戦略
自発性
なるほど計画とか戦略、取り組みといったものがあるのですね。
腑に落ちた私はこのイニシアチブをようやく飲みこむことができました。
さて本題です。
TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
まずTCFDです。Task force on Climate-related Financial Disclosuresの略称です。日本語で言うと気候関連財務情報開示タスクフォースとなります。
このTCFDは2015 年、G20 の要請を受け、国連の金融安定理事会(FSB)により設立されました。
で、TCFDってぶっちゃけ何するところ?ということですが、企業の気候変動への取組みや影響に関する財務情報についての開示を推奨したり、その指針を出している組織であると考えて良いでしょう。
非財務情報とりわけ気候変動への取り組みをこういう立て付けで開示しなさいよ。こうおっしゃるのがTCFDなんですね。
タスクフォース。
おそらく私が人生でこの言葉を使うのは、このTCFDに言及するときくらいです。言ってみたかったので敢えて書きます。
語感から何となく分かると思います。この「タスクフォース」、もともとは軍事用語で機動部隊を指すものです。
気候変動問題は緊急性の高い課題。その解決を図るために、このタスクフォースが結成されたという理解で良いのではないでしょうか。
このTCFD、気候変動のリスクと機会を以下4つの項目に沿って開示しなさいと言っています。
ガバナンス
戦略
リスク管理
指標と目標
これがいわゆるTCFD提言に基づく開示というやつです。あまりここでは深堀りしません。
CDP(カーボンディスクロージャープロジェクト)
こちらは2000 年に英国で設立された国際環境 NGOです。その名の通り炭素・開示・計画です。ESG情報開示の中の「E」に関するグローバルスタンダードと言われています。
世界を股にかける大企業様では、このCDPからの質問書に答えることで、A~Dで環境格付けがされます。
環境版格付け機関とおぼえておきましょう。
SBT(Science Based Targets)
パリ協定が求める⽔準と整合した、5年〜10年先を⽬標年として企業が設定する、温室効果ガス排出削減⽬標のことです。
このSBTは、CDP・UNGC・WRI・WWFの4つの機関が共同で運営しているイニシアティブです。SBTという機関があるわけではありませんので、ご注意下さい。
Science Basedと言う言葉から分かるように、科学的根拠に基づいた目標設定であると言うことがミソです。
SBTは先のTCFDやCDPといったイニシアチブが大企業向けのものであるのに対して、中小企業ルートというものを設けています。
この中小企業向けSBTは大企業の目標よりもちょっとだけ優しい目標設定となっています。これで気候変動問題に対する取り組みの裾野を広がればいいですね。
SBTについては以前記事にしていますので、そちらを参照ください。
RE100
こちらは事業活動で用いる電力をすべて再エネ由来の電力にすることを推進する取り組みです。
TCFD提言に沿った情報開示、CDPによるスコアリング、SBTよりも単純明快なイニシアチブです。そのためこのRE100を手始めに地球温暖化問題への対応をはじめるのも良いかもしれません。
ですがこのRE100には以下の要件が求められます。
グローバル又は国内で認知度・信頼度が高い
主要な多国籍企業(フォーチュン1000又はそれに相当)
電力消費量が大きい(100GWh以上)
RE100の目的に寄与する、何らかの特徴と影響力を有する
中小企業はお呼びでない…。残念ですね。
我が国には「再エネ100宣言」というイニシアチブがありますが、こちらは国際イニシアチブではございませんので、ご案内は割愛いたします。
以上が国際的な脱炭素イニシアチブです。ここら辺を抑えておくと、カーボンニュートラルの込み入った話題になっても、それっぽく受け応えができるようになると思いますよ。(多分…
以上、今回も長文最後までお読みいただきありがとうございました。