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最近のEU域内の選挙結果と次期アメリカ大統領選が気候変動問題に与える影響を考えて(考えたのか?)みました
わたしは欧州の専門家でも何でもありません。
それに欧州事情に明るいわけでもありません。(むしろ疎い)
が、やたらと最近選挙のニュースがありますので、整理をする意味で今回記事にします。
今回の記事の主な出典はBBC(https://www.bbc.com/japanese/articles/c9xxj6z9r36o)です。
また今回はいろいろとChatGPTの力を借りています。
欧州議会選挙の結果
欧州議会選挙は2024年6月6日(木)~9日(日)に行われました。
その結果は以下の通りです。
フランス
極右政党「国民連合」が勝利し、エマニュエル・マクロン大統領は解散総選挙を発表。
極右やナショナリスト政党が議席を増加。
ドイツ
3党連立政権(社会民主党、緑の党、リベラル派)が敗北。
極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が得票率15.9%で国内2位、保守政党「キリスト教民主同盟(CDU)」が30%でトップ。
極左新党「ザーラ・ヴァーゲンクネヒト同盟(BSW)」も影響力を増加。
イタリア
極右政党「イタリアの同胞」が29%の得票率で勝利。
中道左派の野党「民主党(PD)」も得票率24%で健闘。
オランダ
反移民を掲げる「自由党(PVV)」が議席を伸ばし、緑の左派政党が最多議席を獲得。
ハンガリー
右翼政党「フィデス」が勝利するも、新たに設立された中道右派の「ティサ」が30%の得票率で台頭。
オーストリア
極右政党「自由党(FPÖ)」が得票率25.7%で勝利し、政治の「新時代」を宣言。
この結果だけをみると【極右】という表現が目に付きます。
欧州にはファシズムの嵐が吹き荒れ始めているのでしょうか?
極右が台頭は本当か
今回の選挙で勢力を伸ばした政党に共通して見えるのが、
移民制限、EUへの懐疑、国家主権の強化です。
欧州では移民問題が深刻です。
ChatGPTさんに以下にまとめてもらいました。
移民問題の深刻さ
欧州における移民問題は、以下の点で深刻です:
人口流入の増加: 特に2015年から2016年にかけて、シリア内戦や他の中東・アフリカ地域での紛争、貧困、迫害から逃れるために、多くの難民が欧州に流入しました。この期間には約100万人以上の移民と難民が欧州に到着しました 。
社会的緊張: 移民の急増に伴い、社会的緊張や対立が増加しました。移民が多くの公共サービスに負担をかけるとの懸念が広がり、特に教育、医療、住宅において影響が顕著です。また、移民と地元住民の間での文化的・宗教的な対立も増加しました 。
政治的影響: 移民問題は欧州各国の政治にも大きな影響を与えました。極右政党やポピュリスト政党が移民問題を利用して支持を拡大し、反移民政策を掲げることで政治的勢力を増しています。これにより、政治的分断が深まり、政策決定が難しくなっています 。
犯罪や治安問題: 移民の一部が犯罪に関与しているとの報道が増加し、一部の国では移民に対する治安上の懸念が高まっています。これにより、移民に対する偏見や差別が増加しています 。
以上のような問題を抱えた社会で、移民問題への対応を制限・管理という形で打ち出す人たちが勢力を伸ばすのは当然のことかと思います。
よく極右として引き合いに出されるのがフランスの「国民連合」です。
現在の代表であるマリーヌ・ルペンの親父さん代の「国民戦線」は反ユダヤ主義、排外主義、人種主義といったマジモンの過激な極右だったようです。
ですが彼女の代ではその親父さんを追放して、ソフト路線へ転換を図っています。
現在の移民政策については、不法移民の即時送還、合法移民の厳格な制限を主張し、移民に対する社会保障の削減を提案しています。
また、フランスの文化とアイデンティティを保護するために、移民の流入を制限する政策を推進しています(POLITICO) (Northeastern Global News)。
排外主義ではありません。厳格な移民管理ですね。
「極右勢力が台頭」みたいな見出しも結構なんですが、ちょっと掘り下げると何か違う。
人間はイメージに引っ張られがちなので、あまりその手のレッテル貼りはしないほうが良いのでは?と思いました。
そもそも欧州議会って何だ?
わたしの欧州理解はその程度です。(絶望
なので、誰かが今回の欧州議会選挙結果を、EUの意思決定機関の解説をふまえて分析している(わたしにとって都合の良い)サイトはないものかとふらふらしていると…。
あったんです。
見つけました。
これは良いレポートです。
これを読めば今回の欧州議会の事、それを受けての影響。
まるっと理解ができます。
流石専門家です。難しいこともわかりやすく解説していらっしゃいます。
もうわたしが四の五の言うことではありません。
このレポートには欧州の環境規制への影響についても以下のように言及されています。
右派の伸長により、化学品や農薬の使用規制や環境汚染防止策の義務化など、対象産業のコスト増につながる政策は忌避される可能性があります。これに対し、炭素国境調整措置(CBAM)など、域外への資本流出を防ぎ域内外の競争環境を平準化できるような環境政策は積極的に実施されると考えられます。
わたしのなんちゃって欧州議会について考えてみたコーナーはここで終了です。
おしまい。
結局人間はバランスをとる(極端を嫌う)
欧州議会選挙を受けての7月7日。フランスでは議会選挙が行われ、先の欧州議会結果の揺り戻しなのか、今度は左派が勝利しました。
右が出てきたら左が出る。なんともバランスがとれた選択をフランス国民はするもんだと思いました。
これは民主主義が成熟していると見るのか。それともお国柄と見るのが適切かは読者の皆さんにお任せします。
何れにせよ大多数の人間は追い込まれないかぎり、中間をとる性質があるのではないかと思います。これは別の言い方をすると極端を嫌うとも言えます。
先ほどのPwC社の欧州議会レポートの中に以下の下りがありました。
環境政策や移民政策など、勢力を伸ばした右派に一定の妥協を要する分野があり、欧州議会の意思決定は複雑さを増すと言えます。ただし、中道政党(EPP、RE、S&D)が依然として最大勢力である上、EU統合に懐疑的な右派各会派(ECR、I&D)の議席は事前予想ほど伸びず、また1つにはまとまっていません。このため、欧州議会の意思決定が極端に右傾化することは予想できません。
依然として欧州議会の最大勢力は中道。
問題は今回勢力を伸ばした人たちが、どれだけの影響力を最大勢力に行使できるか。そこではないでしょうか。
トランプ氏の再選と気候政策の影
欧州はなんとなくバランスをとったとしても、アメリカ大統領選挙の行方によっては、気候政策の風向きは変わってくる可能性はあります。
現在のバイデン政権がEVの普及や、再生可能エネルギーの推進などに巨額の補助金を投じてきたのに対して、トランプ氏が再選された場合、アメリカの気候政策は大きく変わる可能性があります。
トランプ氏の過去の行動と最近の発言を以下にご紹介します。
過去の行動
トランプ氏は2017年にパリ協定からの離脱を宣言し、アメリカの気候政策を後退させました。また、化石燃料産業を強力に支持し、石炭や石油の採掘を推進する政策を打ち出しました。これにより、アメリカの温室効果ガス排出量が増加する懸念が高まりました。
最近の発言
2024年の大統領選挙キャンペーン中、トランプ氏は再び化石燃料産業の重要性を強調し、「アメリカのエネルギー独立」を訴えています。また、再生可能エネルギーに対して懐疑的な立場を示し、風力発電や太陽光発電のコストや信頼性に疑問を投げかけていますし、パリ協定の再脱退も公約に掲げています。
米国一国がパリ協定を再離脱をしたから、各国がドミノ式に離脱して、パリ協定はおじゃんになる。そんな極端なことはあまり考えられませんが、少なからず世界的な環境規制については変化はあるでしょう。
正直、カーボンニュートラルをとりまく規制関係については、原理原則的な話が多くて、現実味が乏しく理想的すぎやしないかと思うことがあります。(あ、言っておきますがわたしの個人的な感想ですよ)
ややもすると原理主義的な規制の話が先行し、その火に油を注ぐ形で環境原理主義者がテロまがいの行動をする。
そりゃあ多少の軌道修正も必要でしょう。
その軌道修正が成された結果、現実的なカーボンニュートラル、気候変動問題対策となればそれで良いんじゃないかと思います。
まとめ
欧州全体に、過度な環境規制に伴うコスト増を忌避する傾向が出てきているのは事実です。
その中での「ほぼトラ」のトレンドは、気候変動問題対策を経済性のバランスがとれたものにする。それを進める良い機会になるのではとさえ思います。
カーボンニュートラル界隈に必要とされるのは、経済的こなれ感じゃないでしょうか。
アメリカ合衆国もトランプ氏を支持する人たちがいて、バイデン氏を支持する人がいます。かならずそこには共和党支持者と民主党支持者の妥協点が見いだされます。
なのでわたしは気候変動問題対策という大きなトレンドには、致命的な変化は生まれないと思っています。
今回も長文最後までお読みいただきありがとうございました。