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流れ

流れにのって、
身を任せていれば、
見知らぬ土地まで辿り着けるが、
気付かぬ掠り傷も意外と多いもので、
ヒリついているのは楽した故の果か。
加速した流れは、
護岸を削り、
根を張る者まで剥ぎ取り、
無理やり連れてゆく。
長く深く根を伸ばせなかったことが悪いのか、
根を下ろした場所が悪いのか。


決して流されてなるものかと、
藁をもつかむ思いで必死だが、
あらゆるものが身を削る。
ここに居たいと、
その望みすら叶えることは難しいのか。
満身創痍。
一体なぜここに居たいのか、
意味を見失いそうだ。
いっそ意識を失って、
目を覚ますことができた時には、
見知らぬ場所で花を咲かせられるだろうか。


流れに身を任せてみたものの、
一体いつまで流されているのだろうか。
去る景色は一瞬の彼方。
気になる場所を見つけても、
この速さでは途中下車もかなわない。



どこに行こうというのか。


なぜ手ずから舵をきらなかったのか。




沖に流され、
ぷかぷかと漂う。
ただ水面から日が上り、
頭上を照らし、
水面へと潜れる。
さて、
顔をのぞかせた方角と同じではなかったか。
今、
右も左も分からない。


この流れは、
今も尚わたしを迷わす。



最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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