ちょっかい
いつもこの季節になると、
アイツはやって来る。
来なくていいよと言っているのに、
必ずと言っていいほど来る。
いつもちょっぴり弱っている時に、
気がつくとそこにいる。
油断した。
立ち入られる前に追い返せなかった。
仕方がないけど、
せめて大人しくしておいてくれと、
小まめに世話を焼く。
なのにアイツは不機嫌だ。
ほっぺたをぷぅっと膨らませて、
そのほっぺに指をぷっと刺したくなる。
だめだだめだ。
アイツをこれ以上不機嫌にしてはいけない。
ちょっかいなんかかけちゃいけない。
とにかく優しく、
あとは放っておくんだ。
それなのに…
ちょっとした弾みで、
ほっぺに指刺しちゃった。
アイツのほっぺから息が抜ける。
とうとうアイツは泣き出した。
布団をかぶって隠れてしまった。
出ておいでって布団を剥がすと、
すぐに大泣きしてしまう。
そして閉じ籠もる。
どうしてちょっかいかけちゃうんだろう。
どうして放っておけないんだろう。
放っておけば、
いつの間にか出ていっちゃうのに、
そうしないから居座られる。
あぁ、
自分が情けない。
そんな邪魔な場所に居られると、
どうしたって無視できやしないのだ。
まったくムカつく奴だ。
花粉が飛ぶ季節、
季節の変わり目に少し鼻水が出たり、
唇が乾燥で荒れる季節、
ちょっとした炎症部分に現れるヘルペスウイルス。
穴と穴の付け根部分で膨らんでしまった水疱を、
大人しくなるのを待てばいいけれど、
場所がいつも悪く、
鼻をかんでいるうちに水疱は破れ、
かさぶた化を免れられず、
鼻◯ソくっつけてるような見映えで非常に恥ずかしい。
ちょっと鼻の下を伸ばせばかさぶたが裂ける。
鼻をかめば裂ける。
裂ける→血が出る→かさぶたという、
長い長いヘルペスとの付き合いが始まってしまう。
付き合いは長いのに、
振り回されてばかり。
悔しい。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。