Boléro
あなたの声で、
あなたの言葉を聞かせて。
みんなで耳を傾けよう。
それはとても静かに、
耳を澄ませて聞こえてくる。
小さな小さなリズム。
そのリズムに呼応し、
その場で舞い始める娘がひとり。
そうして、
娘の舞が終わるのを見計らって、
まるでバトンを渡すように別の者が舞う。
バトンは次、
また次へと渡る。
知り合っていたわけでもない、
ただ同じ空間に、
同じ時間を過ごしていた者たちが、
はじめからそうする事がわかっていたかの様に。
いつしか、
刻まれるリズムは少しずつ力を増す。
舞は、
ソロからデュオ、
トリオ、
カルテット…
やがて、
静かなリズムは、
地球の鼓動のように響き廻る。
決して激しくないけれど、
緩やかでもなく、
手を取るようにダンスの中心へと誘う。
心地良いリズムは、
自然に体が動き出す。
暮らしの中に溶けこんでいた声は、
群衆を動かし、
そしてまた、
日々の中に姿を眩ます。
オーケストラを贅沢に暇をさせながら、
盛大なフィナーレを迎える、
モーリス・ラヴェル(仏・1928年)の「ボレロ」。
角野隼斗が一人、
ピアノでボレロを弾く。
非常に鳥肌がたつというか、
感情がぶぅわっと込み上げてきた。
同じ旋律を繰返すのに、
9分という長さの曲を、
飽きさせるどころか惹き込ませてしまう。
是非お聞きください。
最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。