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怖くて聞けない事

今シーズン楽しみに見ている
ドラマ「放課後カルテ」。
主演:松下洸平

「いちばんすきな花」の時の椿さん役がとても好きだった。
印象も、
いつもニコニコして感じの良い人と受けている。
映画「ミステリと言う勿れ」では、
その笑顔もなかなか怖いものだと思ったが、
基本的に穏やかな印象に変わりはない。
なので今回の役ドコロは結構新鮮だった。
松下洸平演じる小児科医:牧野は正直言って無愛想。
すごくダルそうに仕事をしているが、
子どもの抱える病を治したいという想いが行動に表れている。
なんで小児科医になったのかという問いかけに、
すべてを診れるからと答えていた。


先々週・先週の2話をまたいだお話は、
内に抱え込んだ不安が自傷行為や外への攻撃へと表面化してしまった少女のお話。
牧野が病院に勤務している時には、
患者の病を見て、
患者自信・保護者の抱える不安を知る必要など感じていなかった。
学校医になって、
少女の抱える不安が何であるのかを知ろうとする事で、
患者のすべてを診るということを知るという感じなのだろうか。


少女の抱える不安は両親の不仲が原因。
母親が家を出て行ってしまった。
父親と共に暮らしているものの、
父親は娘に興味がないような素振りをみせ、
必要最低限の関わりしか持とうとしなかった。
少女は両親どちらからも必要とされていないと自傷を繰り返し、
自分が世の中からも不要な存在なのではないかと恐れ他への攻撃に転じてしまう。


自分を保つことに精一杯だった父親は、
自分は親なのだからと他者の言葉を受け入れられなかったプライドを捨て、
ようやく娘を見た。
娘がどんな表情をし、
どんな思いを隠してきたのか耳を傾けた。
少女は思いの丈を父親にぶつけ、
思いを言葉にして身体の外に放すことができた。


言葉にできる、
耳を傾けてもらえるということは、
大人になってさえ必要と感じる。
色んな気持ちを言葉にして放す事は、
消化して排泄することと同じなのかもしれない。
人間の体は溜め込むと体に悪い。



ー 父親が仕事で疲れ果てていること。
  夫婦がすれ違うようになったこと。
  喧嘩をしていたこと。
  お互いが諦めるようになったこと。
  母親に恋人がいること。
  自分がいなければ早く別れられていたこと。
  全部知ってるよ。
  自分はいない方が二人のためにいいと思った。


少女が父親に放った言葉は、
胸が締め付けられるようだった。
わたしが離婚する前の数年、
子供たちに一体何を溜め込ませていたのだろうか。
一度も離婚理由を聞かれたことはないし、
泣きつかれたこともない。
ただ受け入れていたように思う。
父親の話もしない。
会いたいとも言わない。
聞けば責められるだろうか。
どこかにでも放つ場所はあったのだろうか。



未だに怖くて聞けない。


最後まで読んでいただき、
ありがとうございました。

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