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語学学習の最強のやる気スイッチ

最近、noteのある記事のなかに英語学習のモティベーションに関する非常に面白い記事を見つけた。(noteのシステムをまだ理解していないので可能なら後日リンクをご紹介したい)私もその方と同じような印象を持っていたため、大変興味深く拝読した。一般的に英語学習へのモティベーションの維持方法なるものは「やりたくないことを何とか続けていくための工夫」的なもののようだ。


ま、でも、わからないことはない。私のドイツ語は長らくそんな感じだったからだ。20年以上毎日のようにドイツ人と話す人生を送ってきて、もっと流暢に操ることができれば仕事でも使え、生徒さんの視点も理解できるのに「お勉強」に気持ちが行かない。そんな時期が何年も続いていた。

でも、今から20年以上前、勉強し始めの頃は燃えに燃えていた。ドイツ語クラスに参加し、辞書を引きまくり、CDも毎日数時間聞いていた。ドイツ語検定3級合格、2級合格と順調だった。Themen NEUという教科書の2のCD、学習開始時には全く聞き取れなかったのに、全部理解できるようになった。だけど、そこで止まった。

そこから何年後かに、私は一念発起してドイツ語検定準一級に挑戦する。
典型的な試験対策で自分の会話能力と乖離しているし、会話のためには意味がないと頭ではわかっているのに、試験という一種の締め切り感をやる気スイッチに使い、とりあえずやってみた。結果はあと3点で不合格。そこで、やる気は消えた。

そこから何年経っただろうか。詳細は省くが私のドイツ語は何とも中途半端な状態で停滞していた。いや、停滞と思っていたのは勘違いで実際はどんどん錆びつき錆だらけで動かない自転車のチェーンみたいになっていた。それに気づいたのは去年の秋、コロナ禍を経てドイツから私の姉のような存在が友人と共に来日した時だった。信じられないことに「初めまして」さえ、咄嗟に出てこなかった(笑)

本当に、アワワ、アワワ状態。簡単な一文もまともに作れない。
まずい!非常にまずい!何これ!と焦った。何年前だっただろうか、ドイツ語学校のレベルチェックで先生が急に来られなり急遽電話で会話のレベルチェックを受けたことがあり、その時に私は何も問題なく会話ができた。そしてドイツに数年住んでいた人たちと同じクラスになった。クラスで簡単なプレゼンをする際に、簡単な日本語の箇条書きメモをチラ見するだけで話す私にクラスメイトに驚かれていたぐらいだ。あの私はどこへ行った!というぐらい見事に錆びついていた、、というより自分がサビの塊になったような気分だった。

でも、私は語学のプロなのだ。さあ、どうする。さあ、立ち上がれ、自分!

去年の秋、ドイツ人女性二人と数週間、私はかなり濃密な時間を過ごす。私のドイツ人の「姉」は圧の強いタイプで、楽しいが一緒にいるだけでかなり疲れる。彼女は私の最初のドイツ人女性の生徒さんで今でも日本語ができる。が、彼女の日本語もかなり錆びついていて、外国人の日本語にはなれっこの私にも少し難しい状態。私のドイツ語もサビの塊。最初の数日はここ最近ないぐらい脳が疲労した。一日会わない日があったが、自宅で立ち上がれないぐらい疲れていた。今から思うとよく会話が成立していたと思う(笑)

でも、10日後ぐらいから変化が起こってきた。私の「姉」にも徐々に日本語が戻ってきた。私のドイツ語も少し戻ってきたのだ。「しんどい!」から「話したい!」に変化してきた。「姉」の友人ともかなりドイツ語で話せるようになってきた。(といっても、初日のアワワ状態に比べてというレベルだが)

彼女たちの帰国後半年間、私はまたドイツ語を話さなかった。
でも、あの立ち上がれないほどの疲労感を思い出していた。
あれ、二度と味わいたくない。

そして「姉」の友人とlanguage exchange を始めた。

週に一回、1時間。30分はドイツ語時間。30分は日本語の時間だ。
初回は本当に苦しかった。元に戻っていた感じだった。が、あれから数ヶ月。私のドイツ語は文法的にはまだガタガタだが、流暢さが戻ってきた。とにかく話し切るということができるようになってきた。細かいサビ落とし方法は別の記事にまとめたいが、語学学習の最強のやる気スイッチは「あの人とあのことを話したい」という気持ちだ。

友人知人に会って、あのことこのことを話したい!そんな気持ちが誰にでもあると思う。その気持ちを英語を使う相手に持つことだと思う。今、週に一回の30分はとても楽しみな時間の一つになっている。彼女に話したいことを思い浮かべて、それをどうやってドイツ語化するかを考える時間は楽しい。

話したいことを脳内再生する過程で、言える語彙、言えない語彙が思い浮かぶ。
自信を持って話せる文法と話せない文法がはっきりしてくる。
暗記するために覚える単語ではなく、彼女に伝えるためにきちんと発音したいと思って覚える単語。彼女にわかってもらいたいから、語順を整理して言えるかを確認する文法。そうやって話すために覚える単語と文法はモティベーションを維持するために工夫などせずとも自然にやる気が生まれてくる。

机や教材に向かうより、会いたい人に会う方がよほど楽しい。
language exchangeは相手との相性も大切だが、なぜもっと早く始めなかったかと少し後悔している。以前なら(ああ、やらなくちゃ)と思ってみていたたくさんのドイツ語系のインスタ動画。今は高い集中と興味で見ている。やる気のあるなしでこうも違うものなのだなと実感している。


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