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日本語は世界で一番難しいのか。はい、文字は多分。

前回の記事では日本語の簡単な部分について書いた。今回は難しいと思う部分を一つ選んで書いてみたい。

日本語学習者にとって日本語の最も難しいところは文字だ。若干の違いはあれどアルファベットを使う言語は30文字以下で済む。日本語はひらがなだけでも46文字カタカナも合わせるとざっと100文字。日本語はひらがなとカタカナだけでは表記されていないので常用漢字も合わせるとざっと2100文字。若い学生に学校でレッスンをしていた頃はこれを全部叩き込むようなカリキュラムだった。今、私は主にビジネスパーソンにレッスンをしているので、文字はやらずにローマ字で会話のみという選択肢もある。しかし文字を好んで学ぶ人も多い。漢字は意外と人気がある。私の生徒さんにはなぜか物理学の博士号を持ってる人が多く、彼らは漢字にハマる。とはいえ、日本で仕事をしながら日本語を学んでいるので三年間で300字ぐらいが平均値だと思う。ビジネスパーソンでも漢字を極める人もたまにいるが。
日本語には音が少ないので同音異義語が多いところも日本語学習者を苦しめる。
一番多いのは「こうしょう」で48の同音異義語がある。「こしょう」と「こうしょう」の使い分けも国を問わず、結構難しがられる。

先日のレッスンでも中級レベルのドイツ人がこんな同音異義語を発見して衝撃を受けていた。それは「けっこん」だ。「結婚」は基本語彙なのでもちろん知っているし彼女は会話の中でも使いこなしている。でも彼女はNetflixで見ていた刑事ドラマの中に「血痕」を見つけ、同じ音でこんなにも違う意味があることに「衝撃的です!」と言っていた(笑)

漢字の勉強を楽しいと思って始める人は結構いるが、一つの漢字がたくさんの読みを持っていることに絶望的な顔をする人も多い。説明は省くが例えば「生」など。
「石」を学び「油」を学び、「石油」に出会った時、満面の笑みで自信たっぷりで「いしあぶら」ですね!と言う生徒さんを何度がっかりさせてきたことか。

漢字は漢字圏の生徒さんにはもちろん問題はない。むしろハードルが低くなるので
語彙が一気に増えやすい。中国語圏の人はもちろん、韓国語圏の人も割と漢字には強い。韓国ドラマを見ていると「言語道断」「右往左往」「安全運転」など字幕がなくても聞き取れることもあるので、韓国人があっという間に日本語を習得するのは文法はもちろん語彙も似ているからなのだなと実感する。基本語彙はだいぶ違うが、中国語由来の語彙は共通点が本当に多いようだ。

最後にカタカナについて。これは国を問わず非常に不評だ。たまに面白がって日本語のカタカナが大好きという人もいるがかなり稀なケースだ。真剣な表情で「日本人は本当にカタカナで英語を使うのをやめたほうがいい」と力説する人もいる。これに関しては私も同感だ。最初は合っていても使用されるうちに次第に意味が変化してずれているもの「アナログ」型、最初から意味がずれているもの「ナイーブ」型、語源を冒涜した省略語「イントラ」型など、新しいカタカナが増えれば増えるほど、日本人の英会話習得が遠くなる気がする。カタカナは擬音語擬態語、和語を強調などのために使う場合(「ネコ」等)に限定し、英語はそのまま英語表記にしたほうがいいような気がするが、そうなると文字が4種類になる。


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