終点?どこだったっけ?

昔のちょっとした失敗談を思い出したので書いてみようと思った。
 実家の隣県で働いていた時の話だ。ある週末に駅近くのビアガーデンで職場全員での打ち上げみたいなイベントがあった。今考えると決算のお疲れ様会だったかも。
 その週末は友人と遊ぶ予定だったので実家に帰る予定だった。たまたま場所が駅近くだったので電車で帰ろうと決めていた。
 
 泥酔する程に飲んだ訳でもなく、生ビールを2、3杯ぐらいの酒量だったと記憶している。
 
 打ち上げも終わって無事電車にも乗れた。

 突然、駅員さんに肩を揺らされて「終点ですから起きて」と言われた。一瞬何が起きたか分からなかったが、酔って寝過ごしたんだと思うまで、そう時間はかからなかった。
 終点の駅名は何となく乗る前の記憶に微かにあったが一応駅員さんに尋ねてみた。
 記憶通りの駅名だった。46分乗っていれば目的の駅だったのに、約2時間半乗っていた事になる。

 駅員さんが事情を察してくれて、特急料金さえ払えば登りの寝台特急に乗ってもいいからと融通を効かせてくれた。泊まる場所を探す羽目になっていたので一も二もなく、その提案に飛びついた。
 帰りの寝台車は快適だった。車両に三列のリクライニングシートが配してあって、かなりゆったりしている贅沢な作りだった。これなら周りを気にする事なくリラックスできるし、寝れるだろうなと思った。空いている席に案内して貰って贅沢な時間を過ごせたので、少しいい経験かもと思ったが、それも束の間だった。
 到着のかなり前から車両と車両の間のベンチシートに座らされて、次寝過ごしたら、とんでもない場所に着くからと脅かされた。確かにあのシートは寝る為に特化しているし駅員さんの配慮なのはわかったが、もうちょっと良いんじゃないの?と思ったが前科があるので従うしかなかった。
 
 駅員さんに感謝を述べて、ようやく長い旅が終わった。
 
誰かに迎えに来て貰ったはずだが、誰に迎えに来て貰ったか完全に忘れてしまっている。実家の父か、友人か。
 あの時は迷惑かけてすみませんでした。
 


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