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セルゲイ・ブブカとサウナ風呂

最近巷でサウナが流行っているらしい。それに伴ってサウナの正しい入り方等の情報もネットや雑誌の特集記事等で入手しやすくなっている。
 入り方も良く分かってなかった若い時は、ただただ汗を出すものだと思って入っていた。
 水風呂は心臓発作を起こしそうで怖かったので足だけ浸かってすぐ上がっていた。なので1度も「整う」経験をした事はありません。

 友達曰くサウナで汗出して、上がってからのビールが最高に美味いからと言われていたので、確かにそれは美味そうだなと何かの機会に試してみようと思っていた。
 
 理由はもう忘れてしまったが、1人で温泉ランドみたいな施設に連泊する事になった。宴会場兼食堂があったので、サウナ上がりのビールが楽しめると意気揚々と男湯の脱衣所へ向かった。
 ジャグジーやら薬湯やら露天風呂を回ってから、いよいよサウナの時間だ。
 そんなに大きくないサウナ風呂で椅子の正面にTVが設置してあった。映っていたのは陸上競技で種目は棒高跳びだった。オリンピックの時期ではなかったので世界陸上かなんかだったと思う。

 画面には当時の世界記録保持者で鳥人の異名を持つセルゲイ・ブブカが映し出されていた。
 彼に対する印象は前々から、ちょっとセコいなあと思っていた。というのも大会ごとに世界記録を1cmずつ更新していて、おそらく世界記録を出すとスポンサーからボーナスが出るんだろうなと勘繰っていたからだ。
 案の定、調べたら35回も世界記録を更新していた事がわかった。
 
 その日も解説のアナウンサーが世界記録更新なるか?と叫んでいた。その試合はブブカの1位は確定していて、後は世界記録の高さのバーにブブカ1人で挑戦する。そんな場面をサウナ風呂で観ていた事になる。
 
 ブブカの1回目の跳躍の時点で、既に汗だくで慣れてないせいか限界に近かったが世界記録を生で見たかったので我慢して放送を観ると決めた。
 手拍子を会場に催促しスタートするブブカ。跳ぶと思った瞬間踏み切りが合わなかったのか、ポールがしなる事なく跳躍をやめた。
 会場で見ていた人も残念だろうが、こっちはもっと残念だ。跳んでくれと心から思った。ブブカ1人なのでインターバルがどれぐらいあるかわからない。なので2回目をすぐに跳ぶかもしれないので、かなり限界に近いがサウナから出れない。
 
 実はその後、ブブカの世界記録を観れたか思い出せない。いい加減にしてくれと思った事は覚えている。
 
 生放送とサウナ風呂の相性は最悪であると断言しておきます。

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