抜本的改革に必要な本質の見抜き方
何が良くないことがあった時、上辺だけ対応してると同じようなことが起きますよね。
上辺だと分かってやっていれば世話ないんですが、上辺の対応を本質だと思ってる組織が多いんです。
皆さんの会社は大丈夫ですか??
さて、僕の会社で今日こんなことがありました。
使い始める前に検査しなきゃいけないものがありまして、その検査に地震を考慮した設置方法ってのがあるんですね。
その検査に使う図面と、設計図面を照らし合わせて検査をOKにしたと…😩
機械の耐震といえば、地面に穴開けてアンカーボルトを打って、アンカーボルトを機械の足の穴を差し込んで締めるんです。
で、地震がきても倒れませんよってことですね。
でも、例えばそのアンカーボルトが細すぎたり、ものに対してすごい内側で止まってたりしたら倒れちゃいますよね。
だから構造計算をするんです。
今回の件は、他所から持ってきた古い機械を新たに置きますって話でして、その機械自体は古いから耐震もへったくれもないんです。
だから、新たに計算し直す必要がありました。
で、計算ですけど、機械の大きさからどこにアンカーを打てばいいかを計算して、アンカー用の穴同士の最低必要ピッチを出して、それを満足しているか?って見るんです。
その計算書とか、施工図面を見て、はい合格ってやるんですよね。
なのにですよ。
図面と図面を見比べてOK出しちゃいましたって事案の悪さを、図面と図面を見比べてることに気が付かなかったことだと言うんです。
ちょっと分かりにくいですね。
例えば、機械の穴ピッチが800mmだとします。
計算して、最低必要なピッチが600mmだったとします。
実際800mmなのでOKですよね。
今回の図面には800mmと書いてありました。見比べた先の図面にも800mmって書いてありました。
Okです。とやってしまったと。
仮に1000mm必要だった場合、たりないじゃないですか。
図面動詞を見比べたことが悪いんじゃないんですよ。
それも悪いんですけど、本質はそこじゃない。
ゴールになる数字を出さずして、検査に臨んでいること自体が悪いんです。
しかも、耐震が求められていない時代の図面ですから、架台のアンカー穴ピッチなんてカッコ寸法なんですよ。
カッコ寸法ってのは交差もない参考値位のイメージだと思ってください。
検査に際しては、カッコ寸法だからと交差なしでドンズバで「800mmであることを確認する」ですって。
百歩譲って799.5mm〜800.4mmだった場合は良いですけど、カッコ寸法で作られたものがそこまでの精度とは到底思えません。
Lアングルの溶接品ですしね。
だからやるべきは、
①移設する機械を決める
②大きさを測る
③保守的に全部鉄の塊として重さを算出する
④いちばん高いところにその重さがあるものとして、穴ピッチとアンカーボルトの必要な太さを計算する。←『計算書』爆誕!
⑤機械の実際の穴ピッチや穴の大きさを測定して記録する。←『測定記録』爆誕!
⑥実際に移設して、計算書の通りの固定ができているか確認する。←『自主検査記録』爆誕!
⑦書類検査時は、計算書、測定記録をエビデンスにして、自主検査記録を提出する。
という流れになります。
なので、「図面と図面を比較してしまった」のは本日の悪さではないんです。
そもそものステップを飛ばしまくって、いきなり検討もなしに移設しちゃうって言うのがそもそもの悪さなんです。
で、メインです。
この事案、どうしたら防げたかということですよね。
防止策はとてもシンプル。
『ゴールを設定』すればいいんです。
ゴールとは、例えば法律や、社内規程、様々な約束事の要求事項もあれば、単純に自分の設計思想みたいなことがネックになる場合もあります。
いずれにせよ、設計仕様を決め、それに向かって詳細設計をしなくては、空中分解しちゃいます。
まずは必要な能力を定める。
それを実現するためのガワを決める。
それから動かなくてはただの無駄足です。
こういう事に気が付かない大人が増えてます。
本当にやばい事だと思います。
どんなに法律が複雑化しようと、ルールが煩雑になろうと、だいたい目的は安全です。
安全のために何ができるか、とにかくシンプルに考えて、とにかく誰も傷つけないものつくりをしましょう。
それこそ今の日本に求められているものです。
設計開発やマネジメントは資格化出来ないいわゆる人間力みたいなものです。
好き放題作りたいものを作りたいように作るのは学生時代で終わりにしましょ。