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涙を拭く22kgを持ち上げて抱いて、これはもう自立するべき大きさだし、抱えている姿を他人が見たらぎょっとする大きさだと思う。
こども。
請われて抱き上げるのはわたしがこれの幼児期を惜しんでいるからではなくて、
保護者として情緒を育てる使命感からでもなくて、
小さなこどもの視点から見たこの1メートル50センチの高さからの景色、普段とは違うこの新鮮な景色に触れたときに気持ちが落ち着く感じだとか、見慣れた自宅が知らない場所に変化する怖さだとか、もう身長が伸びない自分が忘れがちなそういう感覚をリアルに思い出せる手段として代わりにわたしはこどもを高く抱きかかえて憑依する。