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友部正人を聴きに、大阪と京都を探訪した
夜行バスに乗って大阪に向かった。京都のライブハウス磔磔で友部正人のライブを聴きに行くのだ。手にはニコマートELを持って出掛けた。
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友部正人は1950年生れのフォークシンガー。高田渡や加川良などのフォーク界を賑わせた人物のひとり。高校の時から名古屋の路上で歌い始め、『大阪へやってきた』(1972)でレコードデビュー。
私は最初、彼の歌にあまりピンとこず、調子を外してみせるその歌い方もとっつきにくかったが、上記したアルバムの終わりに収録された10分ほどある「公園のベンチで」だけは印象的だった。公園のベンチで目を覚まし、国鉄のホームで新聞を拾って仕事をさがす。ドヤに帰って眠った後、国道でヒッチハイクをして東北まで行く。たまたま訪ねた家に一泊させてもらい、リアカーを牽く女の子に手を振ってまた戻ってくる。酒を飲み倒して川で泳いで草のなかで目を覚ます。そんなことが歌われている。私のなかに感じているしがらみを、一時解放してくれるような心地がした。こんな風に生きてみたいと思った。
それから何枚か聴いているうちに、他のどのフォークシンガーよりも好きな存在になっていた。友部の歌には本当のことしか書かれていない。彼の視界のとどくより外のことは歌わない。
ぼくがいちばん歌いたかったとき
ぼくの周りには歌いたい歌なんて全然無かった
ぼくはぼくがやってることを自分で歌にした
『また見つけたよ』というアルバムでは彼の旅のことが歌われている。放浪といったほうがいいのかもしれないその一人旅に、同伴しているような心地がする。友部になって日本を歩き回って、ベンチに腰掛けたり、石の上に寝転がったりする。
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大阪について、滞在中やっかいになる友達と合流する。久しぶりの大阪は、でもそう懐かしいという気分を齎さなかった。どちらかというと、この街のほうに身体はなじんでいる。
友人の部屋で少し眠ったのだったと思う。それから京都に向かった。ライブまでの時間、友人と話して竜安寺を観ることにした。竜安寺には有名な石庭がある。その庭の写真は見たことがあったが、寺までは把握していなかった。
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石庭は方丈の座敷の正面に位置している。そちらから禅行をしながら、その一環としてこの庭が眺められたのだろうか。
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見所の多い寺だった。
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カメラはいつもフルマニュアル。一応ELは絞り優先オート機能を搭載するが、CdSセンサーがへたっているのかうまく機能しない。まああったとしても、フルマニュアルのほうが楽しいのであまり使わないと思うけど。
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だから露出不足なことも間々ある。
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暗いところはもっと思い切っていいらしい。
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さてさて、そんな風に時間を潰して、今回の本命イベントに向かった。
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友部正人は日本中のライブハウスで歌っているので、高知にも来るのだから待っていればいいようなものだが、今回のライブは特別。なんと、友部がつくったポテトサラダが振る舞われるのだ。
なぜと思うでしょう。私もなぜ…と思ったから。
理由は前回このライブハウスで歌ったあとの打ち上げで、その日歌ったらしい「ポテトサラダを食べに来ませんか」の話になり、「で、どんなポテトサラダなんですか」と話題はポテトサラダへと転がっていって、とうとう「じゃあ今度のライブでお客さんに振る舞いましょうよ!」という話になったということらしい。
ライブ会場には80人くらい入っていたそうだ。「何か特典がつくとこんなに人が集まるものなのか」と戸惑いと後悔を覚える友部さん。
ライブの中休みにそのサラダは提供され、Youtubeにある今回の宣伝動画が流され、ポテトサラダのメイキング映像まで流された。
甘さのないあっさりとした味でおいしかった。
今回のライブのセットリストは以下のとおり。
2023.2.23
友部正人「ポテトサラダを食べに来ませんか」 @ 磔磔
[1部]
From Brooklyn(ブルックリンからの帰り道)
ぼくのこと君にはどう見えるのか
いじわるそうな女の子
はじめぼくはひとりだった
愛について
陸前高田のアヴェ・マリア
まちは裸ですわりこんでいる
こわれてしまった一日
[2部]
〈with ふちがみとふなと〉
ポテトサラダを食べに来ませんか
風がこんなにも
小林ケンタロウのいえ中華
一本道
一月一日午後一時(高橋さん)
小鳥谷(こずや)
誰もぼくの絵を描けないだろう
遠来
バレンタインデー
ブルース
[アンコール]
タイトル不明(デパートのシャッターが下りている…)
〈with ふちがみとふなと〉
老人の時間 若者の時間
セットリスト助かります
曲目は昔と今が交互になるように組んだとのこと。
1曲目の「ブルックリンからの帰り道」が始まったとき、ようやく京都にいることをなぜか実感した。友部さんの声量は17年前くらいに梅田でされたライブのときより太くなっている気がする(飽くまで体感)。最近聴いていなかったこともあり、具体的な景色をつなぎ合わせて聴く者に友部と同じ場所に立たせそこから語られぬ情緒や思惟を与える友部正人らしい詩に、突然涙腺が緩んで3曲目には涙がこぼれていた。
「いじわるそうな女の子」はCD化されている最近の彼の歌のなかで、私が特に気に入っている1曲。MCで磔磔の近くにある京都のお寺を訪ねたときに書いた詩なのだそう。
たしかにお寺の描写があるのだが、私にはこのいじわるそうな女の子はもう亡くなっていて、あるライブのとき彼女は遺影か位牌になってやってきたように思えるのだった。
背が大きくてかわいくて
いじわるそうな女の子
だれも君からは入場料なんてとれないよ
さあ入っておいで
そこに座って聴いてておくれ
これから僕が君にうたう歌
すこしのあいだ 聴いてておくれ
(中略)
今夜も雨の中にたたずんで
僕は10年も前の歌を歌ってる
君はほとけさまに供えられた
くだものみたいな女の子
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そうして10年前の彼女との交流を書いた歌を彼に歌わせた。それが彼女の「いじわる」なんだろうと思う。
すると、今夜の磔磔にも彼女がやってきて、ひとつの席に座って聴き始めるような気がして、私たちまでも亡霊になって友部正人を聴いているような心地になってきた。
新曲と言っていた「陸前高田のアヴェ・マリア」もとてもいい歌だった。記憶力のない私はもうそれを忘れかけて、どんな歌といえなくて惜しい。また聴きたい。少し思い出すように、でもまた初めて聴くように聴くことができるだろう。
共演されたふちがみとふなとのおふたりは、その名は知っていたけど、どんな方か知らなかった。ふちがみさんの楽しそうにタンバリンを叩く姿が印象的でよかったな。
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CDを買って、3人からサインを戴きながら、ポテトサラダを食べたくて高知から来ましたと伝えた。「変な人だ」と言われ、嬉しかった。
さて、今回本命のイベントが終わって、あとは余生として大阪を歩くことにした。
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あとまだ撮りきってないフイルムが残っているけど、それはまた後日。