欲望
欲望を満たすと欠乏がくる。
欠乏を満たすはずだった欲望されたものは
退屈なものに変質し、不満足へと気分を変化させる。
欲望は欲望されたものの掌握によって
不愉快な、焦燥を伴った欲望へと増幅される。
欲望された掌握されたものは
欲望されたものの形骸として本質が脱落する。
脱落した本質とは
欲望されていたときには今掌握しているもののうちに宿っていたものであり、
それは掌握の外にあるという属性を具えたものである。
掌握して変質するのではなく、掌握することで
それは欲望の対象ではなくなるのだ。
そして欲望が残り、
観念と認識のすれ違いが
焦燥を伴った渇望に変化させる。
これは欲望対象を見誤ったこと、
欲望に実践が応えられなかったことによって、
仮の(意識された)欲望対象の掌握へと固執させる。
欲望は
欲望の対象を掌握することによって解消するものとしてより、
欲望するうちに欲望の形を次々に変えて
その対象がスライドしていきながら
欲望しつづけることで運動体としての生へと
主体を享楽させる。
到達とは静止であり、
静止には他がなく自もないが
未達は運動であり、
運動は自他を産出しその境界を変転させながら次の運動へと忘我させる。