「ポーション クラフト : 錬金術師シミュレーター」感想
10時間ほどプレイした感想になります。
古風な絵柄の雰囲気に惹かれて購入しました。
結論から言うと、おススメしません。
ゲームの内容
プレイヤーは、とある流浪の錬金術師です。
たどり着いた空き家には、偶然にも錬金術の器具が揃っていました。勝手に住み着いて、そこで薬(ポーション)を作って生計を立てることにしました。
伝説の処方を復元し、それを基に賢者の石をつくることが最終目標です。
賢者の石の原料を作るには、器具を買い揃える必要があります。お金を稼ぐために、裏庭などから手に入る素材と、1枚の処方マップを手掛かりにして薬を作成していきます。
処方マップには、ガラス瓶のマークがいくつも記されています。マークにはそれぞれ、治療、毒、力、火、魔法などの効果が秘められています。
マップの中央からスタートして、効果のあるマークを目指します。素材をツボに加えて混ぜると、マップ上を一定の距離だけ移動できます。水を薬に近づけていく作業です。マークの上に止めると、薬が完成します。
進むことのできる道筋や最長距離は素材ごとに決まっています。いろんな素材を砕いたり混ぜたり薄めたりしながら、目的の効果を薬に付与します。
作った薬は、町の人に売ることができます。希望する効果は客ごとに異なるため、その客に適したものを個別に作る必要があります。交渉によって、高く売りつけることも可能です。
最初、マップは一定の範囲しか明らかになっていません。マップには未知の効果のマークが多数隠されています。効果を明らかにするためには、いちどそのマークに止まる必要があります。
薬を作って売りながら、さらにマップの未知の部分を探っていくことになります。
良い点
▽ 薬の作成ルートをアレンジできる
薬の効果を引き出すルートは、ある程度、柔軟に変えることができます。素材の組み合わせや入れる順番を考えるのが面白いです。
▽ 素材を砕く音が心地よい
植物やキノコや鉱石などが薬の素材です。素材は、水に投入する前に乳鉢で破砕すると、効果を伸ばすことができます。サクサク、ガリガリ、と実際に作業しているような音がして気持ちいいです。このゲームの最も良い点です。
イマイチな点
▽ BGMが1種類だけ
なんとなく砂漠を感じさせるBGMが1曲のみ用意されていて、これが延々と続きます。ゲーム起動からシャットダウンまで、変わることはありません。ファミコンソフトのようです。邪魔にはなりませんが、あまりにも単調です。もう少しバリエーションが欲しいと思いました。
▽ 判定がシビア
薬の効能は、マークの中心に近いほど強力になります(Ⅰ<Ⅱ<Ⅲ)。そして基本的に強力な薬のほうが高く売れるため、できるだけ中央に近づけます。
レベルⅢにするには、マークをぴったりと重ね合わせる必要があります。その際にマウスを動かして調節するのですが、ミリ単位での精密な動作を求められます。少しでも動かしすぎると、ⅢからⅡへと外れてしまいます。マウスならまだしも、ノートパソコンのタッチパネルなどではおそらく安定しないと思います。
▽ 客がわがままになる
弱めの薬がいい、特定の素材を使えだの使うなだの、わがままな依頼が増えます。他所へ行ってどうぞと依頼を断ると、評判が下がります。難易度を調整するためには仕方ないのかもしれませんが、少し面倒くささを感じます。
良くない点
▽ 交渉が面倒
販売時に交渉を選択すると、矢印をメーター上の当たりに一定回数止める単純なミニゲームが始まります。そしてミニゲームはコレ1つだけです。
交渉が成功すると薬が高く売れるので、効率良く材料を消費できます。そのため交渉を毎回成功させたほうが良いのですが、はっきり言って煩わしいです。正直言って飽きます。資金が十分貯まっていれば、パスして良いでしょう。
▽ 素材が自由に集められない
プレイヤーは一生店の外に出ることはできません。
1日に何人もの客に特注の薬を作り、合間にマップを開拓していると、素材があっという間に不足します。しかし、素材を気が済むまで収集できるようなフェーズは用意されていません。
素材は、毎朝裏庭にランダムで生える素材を採取するか、たまに来る商人から買うしかないです。目的の素材を狙って獲得することはできません。
素材集めが完全な運ゲーになるのはマイナスでしかないと思います。
▽ 店を閉めることができない
上記の素材集めにも関連します。
プレイヤーは、薬を売る気がなくても毎日必ず接客しなくてはいけません。24時間365日ワンオペです。
素材が無いために客の依頼どおりの薬が作れず、依頼を断らざるを得ない場面が出てきます。断ると、評判が落ちます。評判が落ちると、薬の販売価格が下がります。資金が不足すると、十分に素材を買うことができなくなり、薬が作れなくなります。以下ループです。
せめて定休日が欲しいです。
▽ 客の依頼が曖昧
アレがしたい、アレができない、とだけ相談してきて、具体的な解決方法をこっちに丸投げする客がいます。致命的に情報が不足しているのです。これかなぁと思った効果の薬を提案しますが、どうも納得してくれません。
客「剣に魔法の力をつけたい」→私「はい魔法の薬」→客「違う」
客「道がふさがって通れない」→私「はい力の薬」→客「違う」
などなど。依頼は1文のみで、それ以上詳しく聞き出すことはできません。頑張って薬を作っても無駄になります。コレでいいだろ嫌なら自分でなんとかしろ甘えるな、と言いたいです。
総評
高くは評価できません。たしかに、始めて数時間のうちは面白かったです。しかし、続けていくにつれて下がっていきました。楽しさが徐々に苦しさに変わっていきました。
このゲームの客が、依頼を断られるともれなくブチ切れて不機嫌な表情で店から出ていくのも良くないと思います。こちらも気分が悪くなります。
もし、しょんぼりして出て行かれたら、「ごめんねぇ…」と思えてマシになる気がします。
Steamのレビューでは非常に好評とあります。が、実績解除達成率を調べると、最後までプレイした人は全体の約1%にすぎないようです。それだけ辛いゲームだということがデータでも証明されてしまっています。
作業が好きな人にはおススメします。ぜひチャレンジを。