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天才とお節介~みくりや佐代子さん(ちゃこさん)の奇跡の始まりについて~

(書いた人:矢御あやせ


4月15日、impress QuickBooksさんからみくりや佐代子さんのデビュー作『あの子は「かわいい」をむしゃむしゃ食べる 〜恋をやめられない私たち〜 』が発売される。


2020年4月2日、Twitterで100近いツイートに対し、一人一人に決して短くないリプライを送り、感謝を伝えたnoterがいた。

それが、みくりや佐代子さん――ちゃこさんである。

彼女を知らない人のために簡単に紹介すると、ちゃこさんは天才だ。(以下、いつもの呼称である「ちゃこさん」と呼ぶ)

私は何のご縁か、彼女のすこし近くに立つことを許され、その力強い行動力に何度も何度も励まされた。

そして、彼女は最初の花を咲かせようとしている。

それが、「最初の一冊」の発売だ。

だがそれは彼女が望んだ紙の本ではない。

しかし、確実に夢への第一歩目を歩んでいる。

ちゃこさんは、「前進している」。

そう、彼女の「本」――「本」が発売されるのだ。

🎀

「ちゃこさん、出版社に持ち込んでみませんか?」

この奇跡の始まりは「死を迎えようとしている小説家」のあるお節介から始まった。
「間もなく死ぬ小説家」とは、私である。

僭越ながら、少しだけ私の話をする。

先に誤解を解いておくと、それは肉体的な死などではない。

『業界的な死』である。

小説家には書籍発売の瞬間から寿命が定められているのだ。

「発売から二年」

売れない作家はそれまでに続刊、ないしは次の企画を持っていないと、「死」とされてしまう。

(とはいえ、それは業界内での話である。特に気にしない者もいるし、そもそも誰が作ったのかわからないような噂レベルの話だ)

そうして――有名なワニがあっけない死を迎えた数日前、予定通り、私は死を迎えたのだった。

そんな私は、今考えれば「納得して死を選択した」ように思える。

その前にはみっともなく足掻いた。何度も泣きながら暴れた。
「作家・矢御あやせの死」を恐れ、肉体的な死を選ぼうとしたこともあった。

とある私設賞に落ちた時、私は本気だった。

「ただ一人にだって選ばれなきゃ意味がない、私の寿命が伸びてくれない。私は死ぬんだ。死にたくない。作家として死にたくない!!!」

死にたくなかった。

作家・矢御あやせが死ぬのは嫌だった。
忘れられたくなかった。
嘲笑わられたくなかった。

だって、私には「書くこと」しかないから。

だから、だから――

「だから、死ぬしかないんだ……」

私は本気でに死のうとしていた。

だが――私はちゃこさんの言葉に強く救われた。

(厳密に言うと、もう一人救ってくれた方がいた)

強い言葉だった。
ちゃこさんが自分のポリシーを曲げてまで、届けようとしてくれた言葉だ。

その時から、私はちゃこさんの夢を叶えるために「私が持てる知識の全てをちゃこさんに吹き込みたい」そう、ちゃこさんの夢を叶えるため、本気で挑もうと決意した。

彼女に恩返しをするために。

コーチングサービスで再出発をした現在の自分にとってはすこし恥ずかしい話である。

だが、それでもいい。私はちゃこさんに対して本気だった。

もちろん、このアプローチでちゃこさんを助けたいと思ったのには、理由がある。

ちゃこさんは物書きの天才だったからだ。

はじまりは嫉妬だった。

私は「小説家の寿命」が迫る中でちゃこさんの文章に嫉妬していた。

「あ、この人すっごいの書く……悔しい!」

そういう人は精神衛生のため、フォローをしないに限る。

そう思っていた。

だが、それを止めた理由がある。

ちゃこさんのアイコン(当時)がカープの(多分)大瀬良大地選手のユニフォームを着ていたからだ!!!!!!!!!

私は元カープファンなので、とてもじゃないがフォローをしないなんて狼藉はできっこなかった。

ちなみに後に発覚したが、ちゃこさんは広島の方ではあるが、カープファンという訳ではなかった。

「この方をフォローせよ。さすれば道は開けん」

これは大瀬良大地選手が私にくださいた天啓だと思っている。大瀬良大地選手はそんな風にしゃべらないけど。

そうして、私はこのnoteを読む。

(引用)
だからもしも夢みたいなことを語っていいのなら、私の夢というのは、「わたし対あなたのことを書いたエッセイ集のような、紙の本を作りたい」ということです。
そしてその本が、誰かの本棚に入ったり、誰かの間で貸し借りされたら、それはきっと本当に幸せなことだとおもいます。

できるよ!!!!!!

私は強く叫んでいた。
決して簡単なことじゃないけど、できる。
ちゃこさんは天才だから、できる。

そう、思わずにはいられなかった。

だから、私はちゃこさんのTwitterにDMし、出版社への持ち込みを提案したのだ。

現在のnoteの書籍化ラインはわからない。
だが、ちゃこさんの人気は今も爆増中。
note内でトップレベルの一般ユーザーの一人と言っても過言ではない。

なら――いける!!!!

私はそう踏み切った。

「ちゃこさん、出版社に持ち込みをしてみませんか?」

当時のちゃこさんは「自費出版というものがあるそうなので、『それにしなよ』と勧められているんです」と仰っていた。

その時、私は「ちゃこさんなら出版社が拾ってくれるのでは? そこでかわいい表紙にしてもらいましょうよ!」と提案した。

(……性格には、「そうらしい」。ちゃこさんが「嬉しかったこと」としておしえてくれた。そして、お伝えした内容には今も嘘はない。)

そこで何度かやり取りをし、ちゃこさんは「企画書を書いて出版社に送ってみる」ということになった。


いや~、企画書完成なんていつになるかわからないけど楽しみだなぁ。

そう思っていたら、数日のうちに出来上がった企画書のファイルを見せてくれた。

はやっ!!!!

そう、私はちゃこさんの爆進力をナメていたのだ。

ちゃこさんは書く文章が面白いだけではなく、実はジェットエンジンのような行動力の持ち主でもあった。

うっそだろ、と。
そんなん不平等じゃん。
この人、才能ありすぎでしょ!!

神は彼女に二物以上与えていたのだ。

その後、企画書の添削などをさせていただき、更にその企画書が担当である岡本さんによって更にブラッシュアップされていったのは別のお話。

そして、ちゃこさんは光の速さで書籍発売のお知らせ発表する今日へと至った。


じつは僭越ながら、私・矢御あやせがちゃこさんの著者紹介を書かせて頂いている。

著者紹介は書影・著者近影に次ぐ著者の「顔」だ。

それも、ちゃこさん直々の指名である。

こんな有難いことなんてあっていいのだろうか。

そう思いつつ、運転しながら必死にアピールポイントと内容を考え、読めば足を止めるような「ひきのある項目」を引き出すことを目指した。

もちろん、直される前提の草案なので、跡も残らぬほど修正されている可能性もある。


こうして、ちゃこさんは「夢の企画書」の第一段階を歩もうとしている。

そして、私がお話するたびに、ちゃこさんは「あやせさん、コンサルの才能ありますよ!」と沢山沢山褒めてくださっていた。

何もない、唯一の希望が「書く才能しかない」私にとって。

「作家の寿命」が日々目減りしていくなかで、とてもとても、涙が出るほどありがたい言葉だった。

私はいつもちゃこさんの言葉に勇気づけられていた。

書けば書くほどわかる。

「私、なんにもなくないじゃん……」

知らず知らずのうちに、私は彼女から大切なパワーを貰っていたのだ。

――ちゃこさんの言葉には、力がある。

本当は、ちゃこさんに抱えきれないほどのパワーを分けて貰っていた。

枯れかけた樹木に新しい枝が芽生えるように。

私は、作家である自分を捨てる覚悟が生まれていた。

(「作家活動は落ち着かせてサポートに回る」発言に対してちゃこさんからお叱りを受けたエピソードはまたの機会に取っておく……例えば、奇跡が起きてまた樹木が息を吹き返した時とか……なんて)


そんなちゃこさんの書いた著作、魅力的だとは思わないだろうか。

彼女のエッセイは読んでいるだけで元気がもらえる。

それはきっと、本書で描かれている、辛い痛みの経験が礎となっているのだろう。


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