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新刊の入金がぁ~~~っ、と思った事

ちょっと記憶が怪しいのですが、出版社に入社して数年後のことでした。

それまでは書籍の新刊には携わっておらず、既刊本の注文品の送品、返品があっただけでした。

そんなある日、社長との打ち合わせで聞いたのが、久しぶりに書籍の新刊を出すことでした。

東京の取次さんの書籍仕入へは一度も行ったことがないので、部数相談、確定などはどういうものかを確認したところ・・・

『雑誌仕入と同じようにしたら…』と。

予想はしていましたけど。


さて刷部数決定には一切ハナシに入れず、とりあえず有名な著者さんを育てた著名な方の書籍、帯にも超有名(私は知らなかったのですが)な方が書いていただける・・・

そんな情報で部数確定してって事で・・・

何事も経験よな・・・、と新幹線に乗って江戸参りへ向かうのでした。


さて、各社さん仕入の方はそれなりに対応していただきましたが、今から思えばそこそこ書籍も雑誌も売れてる時代、無茶なお願いであったり、トンデモ企画で無い限り希望は通してもらえたのかなと…時代に感謝です。

だた・・・やたら言われたのは、続いて新刊で書籍の刊行予定はありますか? としつこく聞かれました。

しょうがないので社長に確認を・・・と一旦持ち帰りで、部数はほぼ決まったのでした。

戻って社長に確認したのですが、何故それを聞かれたのか良く分かってない感じでしたが、返事としては『予定はある』と返答しておいてと。

うん、『予定は未定、しばしば変更・・・』ってヤツ、と後から思うことになりますが。


その後は順調に相談から、部数確定、搬入日まで全て決まり、製本も無事に終了し搬入から書店さんへの送品も全て上手くいきました。

何がダメだったかと言うと・・・売れませんでした。

その書籍の読者年齢は相当上だと思われるところ、自社媒体での宣伝、他社媒体での告知なども行いましたが、いかんせん媒体を見る層と新刊読者層が合って無かったんでしょうね。

ホントに売れないし、委託での送品先も当時で言えば超有名全国チェーン店から優先的に配本してしまうと街の本屋さん、個人の小さな本屋さんへはッ送品は無かったと思われます。

指定注文を取る・・・そんな仕事出来てませんでしたから…余裕無かったんですよね、当時。
出荷も返品作業も、納品書も請求書も全て一人でやってましたから、書店さんへの営業ってなかなか行けなくて。

それはそれとして、ホントに売れなかった。
記憶の中でも一番反応が悪かったですね、今だとSNSなどで告知したり、ネット通販にウエブサイトで宣伝なども出来たので違ってたかもしれませんけどね。


そこまで売れないと、返品で帰ってきます。
おそらく精算時期より前に返ってくるので、売上回収よりマイナスが先に・・・。そして知らなかったで済まされない・・・新刊委託で納品した分が入金されないという最悪の事案となってしまったのです。

支払い計算書の書籍委託欄にずっと、ず~~~っとこの委託分の金額が載ったまま動かない、減らない、変わらないという。

あ~、そういうことか。
新刊委託で書籍を出さないと、その前の新刊委託の書籍の金額は払わないよ…と。今から思えばそれで良いの? 取引としてと思うところはありますが、大きいところ3社とも入って来なかったので、そういう取引条件だったんだろうなと。


ここでふと思ったんですけど…

書籍新刊が・・・
版元→取次 
取次→書店 という流れですが

お金、売上金はその逆になりますけど、そのタイミングがちょっと驚きだったんですよね

書店から取次への支払いは翌月
取次から版元へは雑誌で半年、上記のような書籍の場合入金されず…
諸処条件によって変わるとは思いますが…

売れなかったのでしょうがないですが、返品も先に返ってるので…
え、えっ~~っ?
100部新刊委託で納品、半年くらいで返品食らう・・・
マイナスは計上されてしまって、雑誌の売上などが減ってしまってた。
で、新刊委託100部の売上は未回収と言う

恐ろしい話だなと思うとともに、良い経験になりましたよ

マイナス食らった上に代金回収できないシステムだったとは、勉強不足だったな。

そんな話を書店さんでしていたのですが、新刊委託での精算は半年後以降になりますが、書店は翌月になってるよと。

注文でも新刊委託でも同じタイミングで支払だったとは…、なら新刊委託でなく注文で納品した方が良くね? と。
取引条件が一杯あって全てじゃないんでしょうけどね。

単価が低い、利益率も低い、数売らないとダメ、返品ありきというところが良い面もあったでしょうし、そうで無かったところもあるのかなと…



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