そんな顔してない。
肌触りのいい緑色のシートを黒く透けた街並が滑らかに走るのを、うとうと眺める。ぐつぐつ、がたん、ちいちゃく、はげしく、車体と一緒につり革が仲良く揺れるのを見ている。
あと二駅のったら学校の最寄り駅だけど、今開いてる扉を眺めていると、向こうから差す日光の束が、暖房の効いていない場所からの肌寒い風が、ふゆりふゆりと私を誘う。肩につかない髪の毛をさらりとくぐるひんやりとした風が気持ちいい。慣性の法則がわたしの腕をつかみ、扉の外へ引っ張ってるかもと思う。現実に降りなきゃいけない前に、私