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特捜9にみるコロナ禍下のドラマ制作の難しさ


長らく「傑作集」「特別編」と銘打って再放送されていたドラマの新作があちこちで始まろうとしている。わたしが今日見た特捜9もそのうちのひとつだ。作り手の苦労があちこちににじみ出ていたので今日はそのことを書く。

全体的な感想

・いつもならひとつの部屋に集合(及び密集)しているのにひとりのカットが多かった
・ひとり芝居のシーンが少なくなかった
・電話で済まされるシーンが多かった
・なんならテレビ電話のシーンが物凄く増えた。(前がゼロだったので爆増だ)

画面上の人口密度とソーシャルディスタンス

同じ場面に4人以上いるシーンは果たしてあったんだろうか、いやなかったような気がするな? と思うぐらいの、画面密度の少なさだった。体感的には3人がMAXだった。その3人の場合もものすごく距離がとられていて、おっソーシャルディスタンス取ってるなと思った。例えば3人で書類を仕分けてホッチキスしてるシーンがあったけど、椅子ふたつ分距離あけて、しかも横並びだった。

2人の場合は車の内外に分かれて話をしているとか、外階段の上下に分かれて話をしているとか、車の助手席と大きい車の後部荷物置き場部分に分かれて話をしているとか、すごい距離をとっている場面しかなかった。

ちなみに一番笑った「三密に対する配慮」は
・外階段の上下に分かれて話していたふたり(若干不自然)
・近距離で話し始めた途端、業者が台車とともにそのふたりの間を割って入ったこと
・台車の切り替えしがくどく、若干吉本新喜劇ちっくだったこと
・その業者はマスクを装備していたこと
・台車に乗せた荷物はそこにいる3人の誰よりも高く積み上げられていたこと だ。

小池百合子氏の声で「密です!」って聞こえた。

カメラワークと小物の扱い


カメラワークはバストショット・とにかくアップ・もしくは全身が映る、かつまあまあの引きが多かった。たぶんここ編集で頑張ってるんだろうなというシーンもたくさんあった。

「手作りのパンの匂いが美味しそう」だってやってくるシーンがあるけど、その「手作りのパン」が個包装になっているのもまさに「時代」だなと感じる。リアルパン屋さんを見ていてもあの、それまでむきみで放置されていたパンをすべて個包装することによる資材代馬鹿にならないだろうなと思って見てしまう。

そういえばあれがない、と思ったこと


あと気づいたことだけど「刑事ものだけど手錠をかけるシーンがない」「そもそも接触するシーンがない」
狭いシーンで近距離で立っているシーンも顔が向いている方向が90度違う

わたしはドラマ制作、カメラワークなどについてはお茶の間程度の素人で、それでもそう感じる程度には制作側の苦労が感じられた。
先日撮影が再開された(そして6月末で放送を休止する)エールの出演者は待機中フェイスガードを装着するという。よっぽど空調に配慮されていないとあれは暑いので大変だろうなと思う。ドラマの撮影現場、カメラとか熱を発する機材が多いだろうし。
こういうのがスタンダードの作り方となると、相棒がよくやってた「東京マラソンの参加者1万人超が人質」なんて無理だし、だいたいの刑事ドラマがやってた「取っ組み合いからの取り押さえ」が当分見られないんだなと思った。

大変だなあと思ったのは
カメラワークの斬新さ(もしくは単調になりすぎない配慮)
いかに接触させず不自由不自然さを抑えるか
編集(絶対コロナ以前より負担増えただろうし大変だろうなあって思うんだよ)
昨日見た横溝正史原作のドラマ「探偵・由利麟太郎」はそういうものを感じなかった(ナイフを近距離で突きつける、ハグするシーンがあった)のでそういうので撮影時期が緊急事態宣言前後が分かってしまうのがこの時期のテレビ番組なのかなと思いました。

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