私的枕草子 〜とりあえずでビールを頼まない〜 ※個人の感想です
文豪や著名人が主義主張を語るのはかっこいい。
「ボディソープで身体を洗わない」とか、
「お酒はアブサン」とか、
「春はあけぼの」とか。
小市民の僕でも個人的な範囲で主義主張を言い切ってみたい。
そんな企画です。
とりあえずでビールを頼まない
「とりあえずビール」と頼んでから8年になる。
新卒入社した会社の飲み会で言ったのが最初である。
THE☆飲み会なワードを使ってみたかった気持ちもある。
それよりもビールを求める大多数と同じ注文をすることで、提供スピードを早めるという一種の同調圧力に制圧されていた。
ビールは大好きなのでまあ良いかと思っていたのが、それが間違いだったと気づいた。
「とりあえずビール」の日は決まって悪酔いをする
とりあえずビールの”とりあえず”は、自分の意思と権利を明け渡したとりあえずだ。
この一言から先、決して自分のペースで酒を飲むことはできなくなる。
「とりあえずビール」と言った日は必ず悪酔いをしてきた。
大抵は会社の飲み会だ。
The Japanese Traditional Companyに勤めていたので、事あるごとに飲み会が開かれた。
普通に業務でアップアップなので断ることもあったが、いつもどこかで飲み会が開かれていると言っても過言ではなかった。
多くは一早く仕事を終えた課長部長が飲みたいバイブスになり、めぼしい部下達に声をかける。
そんな時は必ず「とりあえずビール」で始まった。
痛風を騙し騙し飲んでいる上司は数口で飲み干してしまう。
上席のグラスが空いたら「お次どうされますか?」と伺うのが絶対的ルールだ。
「じゃあ同じの。お前は?」
「僕もそうします。すみませーん!生2つで!」
この時点でグラスに残ったビールを一気に飲み干すことになる。
これを数回繰り返すと悪酔いの完成だ。
もう飲めない、と思っても”上席に出してもらう酒は残してはいけない”という鉄の掟がある。
大きく口に含んでからお手洗いに向かう隠れ身の術や、少しずつお手拭きに含ませる水遁の術を駆使して戦うことになる。
ああ、思い出すだけで気持ち悪くなってきた・・・。
悪酔い=バーンアウト
いきなり対戦格闘ゲーム『STREET FIGHTER 6』になぞらえた例えで申し訳ないが、お酒を飲むと「ドライブゲージ」を消費するような感覚がある。
「ドライブゲージ」とは攻めや守りに使うゲージで、アクションごとに一定量消費され、その後は自動回復しつつ、特定のアクションでも回復する。
ドライブゲージを使い切ってしまうと、「バーンアウト」状態になる。
バーンアウト中はドライブゲージが全快するまでゲージを使用した行動ができないばかりか、防御面に大きな不利を背負ってしまう。
ゲージを消費しきらないよう、ペースを守ることが肝心だ。
お酒を飲むと、ドライブゲージが消費される。
自分のペースを守ってゆっくり飲めばバーンアウトの心配はない。
しかしペースを破り、飲酒に次ぐ飲酒を繰り返せばバーンアウトは近い。
一番ゲージ消費量が多い行動が「キャンセルラッシュ」。
つまり攻撃から攻撃へ淀みなく、余韻をキャンセルしてラッシュをかけることなのだ。
「ビールが良い」と言おう
とはいえ、ビールに罪はない。あらゆる酒にも罪はない。
”とりあえず”なんて甘い覚悟が罪なのだ。
最初にビールを飲みたい時は「ビールが良い」と言おう。
まあビールでも良いかな、という時も「ビールが良い」と言おう。
自分の意思で決めることが、初手でそれを表明することが何よりも大切なのだ。
2杯目も好きなタイミングでいい。上司に合わせなくてもいい。
ビールじゃなくていい。アルコールじゃなくてもいい。
好きな飲み物を自分のペースで飲むことが、自分らしい生き方を実現してくれるのだ。
あとがき
飲みに出かけるのは好きだ。
新宿ゴールデン街とかで知らない人の話をつまみに飲む酒はこの上なくうまい。
自分で飲んでいる時、悪酔いして気持ち悪くなることはあまりない。
どちらかというと酒には弱い。すぐ顔が赤くなり、それを指摘されると「可愛いでしょ」と言ってお茶を濁すくらい弱い。
それでもどうして一晩に何杯も飲めるのだろう?と考えて辿り着いたのが飲酒=ドライブゲージ消費理論だった。
思えば、今休職してのんびり暮らしているのも、言葉通り”バーンアウト”したのかもしれない。
ドライブゲージを消費するばかりで、回復するための行動をしてこなかった。
何よりも大事になのが自分の意思をしっかりと持つこと、そしてペースを守ること。
ゲージ状況を有利に保つことが格闘ゲームでも大事だからね。
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