唐突に訪れたこの静寂への渇望は
眠い。眠い。なんだこの眠気は。
ここ数日、突然強烈な眠気が襲うことがある。
それは生理的な現象としての眠気というより、「ああ、もう眠ってしまいたい」という、何かを諦めた時のような感覚を、ミシン糸で少しだけ引きずっているような、そういった眠気に近い。
眠るという行為はどんな人間にも必要とされるものであって、僕自身にも当然必要であるから、それをなくさなければならないということではない。
その一方で、この感覚はなんだろう……僕は何かに怯えるように、何かが僕を見ている気がして、時折目を閉じたくなってしまいたくなる時がある。
現実と僕をつなぐのは、目や耳から得られる情報、そして僕が僕であることを自覚しているからこそにある。あるいはそれをつなぎとめるものは、痛みとも呼ばれたりするのかもしれない。
その一方で、眠るという行為は、女神の翼で僕自身を包み込み、現実から守ってくれるような、そんな意味をまとっている気がする。
からだを休める、海馬をリセットするなど、睡眠それ自体における機能の研究は進んでいるし、当然そういった見方で睡眠をデザインする書籍も多い。実際僕も2冊くらいは読んだ。
そういう、からだを癒していくという意味合いとは別に、こころをからだにつなぎ直す作業としての睡眠もありそうな気がする。
ああ、これを書いている今も眠い。
眠気に体を預けることは、現実から逃げろと教えてくれていることなのかもしれない。
早く静かなところへ行きたい。静かなところにこころを置いておきたい。
そう、静かなところ--夢の中よりももっと深く、深くへ。
2020年1月8日
オチのないショートショート
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