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天才はつらい
今日はめずらしい雪の日で
スーパーの前で携帯を取り出して車の中から写真を撮りながら
ふと、
手を止めた
天才はつらい、と思う
天才は
感性が違うので
なかなか理解されることはない
多分、これまで見てきた人々を思い出しても
この社会の中で
生身で生きていくには
その感性はあまりにも鋭い
そして、天才は
妥協ができない
妥協とは凡人の器用さ
それはそれで又、ときには
必要なもの
何かを創るとき
張りつめた細い細いガラスの糸の上を
絶対に
そのガラスが壊れないように
糸が切れないように
息を詰めて
心臓を止めて
彼らは
渡りきろうとする
誰が邪魔することも許されない
舞台の演出家、しかり
音楽を紡ぐ人、しかり
写真を創る人、しかり
墨絵を描く人、しかり
文筆家、しかり
科学者、しかり…….
妥協ができないことが
どれぐらいきついことか
彼らは
孤高と一体化しながら生きる
だれも気づかないなにかに気づき
ひっそりと深い部分でそれをわかる
あえて言葉にして、誰かに言わなくてもいい
自分の胸の深いところで、抱きしめていたらよい
時に、そんな世界は言葉にさえできない
こんなはなし
いままで
たぶん、人としたことがないな
話題になることもなかった
でも、自分の子供たちとは、小さな頃から普段の会話の中でしてきたような気がする
東京キッドブラザースの演出家だった東さんが
「子供にも、きちんと大人の言葉で話せば、
子供は天才だから理解できる」
と言ったことを
私は覚えていたのかもしれない
雪の中で
今日は、非日常を思い巡らした
世の知られざる天才さんたちよ
あなたをありのままに愛し
今日も明日もその優しさが変わらない人が
この世界にかならず一人はいると私は信じています
安心して
今宵もおやすみなさい
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