見出し画像

続き...美保子先生とおじちゃんと喫茶店

実は今朝は、今から木の枝やらなんだかんだを、やっと旦那さんと一緒に軽トラックで捨てに行ける日なんだけど、ベッドの中にいて、コーヒーを飲んでいたら、また美保子先生のことを思い出した。

多分、あの時は、冬休みで、先生のところに1週間位、ゆかりちゃんという1つ年上のとっても可愛い女の子と泊まっていたんだと思う。

ゆかりちゃんと私はいつも朝起きると、おじちゃんのその写真を焼くための液体の漂うフォトスタジオの長屋から、サンダルを履いて、隣の長屋の先生とおじちゃんのベッドの部屋に行く。
大抵2人は起きていて、のんびりとコーヒーなど飲みながら、おはよう、起きたあ? コーヒー入れたらいいよ〜、なんて言う。

今朝、思い出したのは、先生が徳島市内でレッスンがある日なので、先生はベッドの下にある、小さな何でもテーブルでお化粧もして、そして、ジーンズの生地の足首まであるロングスカートとざっくりとしたショート丈のカーディガンを着て、いつものように大きな黒いバックと大きなラジカセを手に、
じゃあ、夕方にね!と、
いつものフェアレディzに乗って出かけていった。
先生はとってもおしゃれで、何を着ても可愛くて、14歳くらいだったわたしの憧れだった。

おじちゃんは、「今日はちょっと散歩して、写真撮らせてね。それからさぁ、ちょっとかっこいい喫茶店に寄って、お昼でも食べて…」と言った。
ゆかりちゃんと、私は、ジーンズに暖かい上着を着て7センチ位あるサボを履いておじちゃんと歩いた。

おじちゃんはいつもゴワゴワしたポケットがたくさんあるジャケットを着ていて、黒い大きなカメラを首から下げていた。そしてカシャ、カシャといつも音を立てているので、私もゆかりちゃんも全く気にせず歩いていた。

おじちゃんと一緒に3人で、良いコーヒーの香りが漂う小さな喫茶店に入った。多分そこでミートスパゲティ、そんなものを食べて、そして最後にコーヒーを飲んだと思う。

おじちゃんと美保子先生は、喫茶店が大好きだった。2人と共に、何十件、喫茶店に行っただろう。私は2人が醸し出すゆったりとした雰囲気、この世界と離れているような空気、そしてご飯よりもコーヒーを愛するような、決して周囲にはいない人種と共にいられる空間が大好きだったのだと思う。


今になって思うのだけど、客観的に見れば、ちょっと貧相な長屋を2つ借りて住み、でも、おしゃれやそして大好きな車はちゃんとこだわりを持っていて、しかめっつらをせず、世の中を気にせず、自分らしく生きていた2人が、多分人生の理想だったのだと思う。そう、まさに理想だった。


世間がこれが良い道だよと提示するレール、そんなものは全く視界になくて、自分たちの愛することを日々しながら、とらわれない、そんな彼らのことが大好きだったのだと思う。

これは、14歳くらいのわたしの描く世界観に、大きな大きな影響を与えた。

このことをもうすぐ出るzineに書かなかったことがちょっとだけ悔やまれるけど、
でも大丈夫。ここにこうやって書けたから。