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タイガー湯沸かしポットと田舎の大切な私の友だち
インスタントコーヒーが大好きな我が家には、
この10年、いつもティファールがあった。
瞬時に沸くしコンパクトだからともてはやされたが、一度にコーヒー2杯分しか湯は沸かせない。
それが悩ましい点だった。
そんなティファールが3日前に、なんとついに壊れてしまった。
どうする!?と、旦那さんと顔を見合わせた。
その時、旦那さんのマイナンバーカード作成時にもらったポイントがまだ手付かずなのを思い出したのだ!
よしそれで新しいポットを買おう!となった。
調べていると、なんと、懐かしいタイガー湯沸かしポット、しかも3リットル沸かせて保温できる、あの便利なポットがいまだに売られているのを知る。
もう1日に何回も湯を沸かさなくても、好きな時にコーヒーも、お茶も飲める!
これにしよう!
時代を後戻りするみたいだけど、私たちには似合いすぎて私はワクワクしてきた。
それが、今朝届いた。
もう、すでに大活躍😊💕
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さっき、キッチンでタイガーから白湯を入れて、さあ寝ようと階段を上がり始めたら、突然、仲良しだった田舎の同級生Mちゃんのことを思い出した。
Mちゃんは共働き家庭の、一人っ子の女の子でものすごく優しいご両親に愛されていた。一人っ子がわがままというのは偏見だ。Mちゃんはただおっとりした、世界を信じている可愛い女の子だった。私は日曜日はいつもMちゃんちに行った。彼女の部屋には、街の本屋に売っている全ての月刊漫画、”りぼん”や“なかよし”。週刊漫画、”少女コミック”、芸能雑誌”平凡””明星”、全てがあった。
可愛いフリルのカーテンが揺れる彼女のお部屋で、一日中漫画を読んでは、おしゃべりをしたものだ。
おやつどきには、いつもお母さんかお父さんが、ニコニコしながらタイガー湯沸かしポットとコーヒーと紅茶のセット、クッキーやチョコレートを運んできてくれた。絵に描いたような幸せな三人家族で、実際、そうだったのだ。完璧な、漫画の世界のような幸せな家族。
高校卒業後、Mちゃんは上京し、大学一年からの彼氏と26歳くらいで結婚をした。青山会館の結婚式には私も参列し、田舎から緊張してやってきたお父さんの涙も目撃した。
二人は、Mちゃんのお父さんが買ってくれた車に乗り、素敵なマンションに住み、グラフィックデザイナーとして事務所に勤めていて、いつ会っても仲良さそうだった。
しかし、30歳くらいの時、二人が離婚したと知った。何があったのかは知らない。その後Mちゃんは、やはりグラフィックデザイナーの男性と東京で再婚し、田舎に帰り子供を産んだ。ある夏、その子を自転車に乗せているMちゃんと偶然、田舎の商店街で出会い、懐かしいやら嬉しいやらで、少しおしゃべりをして、またね!と別れた。
またね、、、、から、20年も経った頃、別の仲良しの友人から、Mちゃんは変わり果て、たまに田舎のショッピングセンターのベンチに座って一人でボーっとタバコを吸っているよ、、と聞いた。何があったのか?あの幸せそのものだったMちゃんになにが? でも、誰にもそんなことは尋ねようがなかった。ただ悲しかった。
その年の暮れに、思い切ってMちゃんの実家宛に年賀状を出した。小さな字で私の近況を知らせ、「また会いたい」と結び、赤いポストに入れた。
まだ返事は届いていない。
でも、私は、あのあどけない、無垢なMちゃんに、あの、バイクの後ろに小さなヘルメットをかぶってお父さんの腰に笑みを浮かべてしがみついていたMちゃんに、きっといつか、また会えると信じている。その時に、Mちゃんがどんなふうだとしても、MちゃんはMちゃん、変わらない私の友だち。優しくて、分け隔てがない、あのMちゃんは、いつまでもありのままで、私のふるさとの、かけがえなき友なのだ。
Mちゃん、大好きだよ。安心して待っていてね。
いつかきっと会おう。またお手紙を送るからね。
私の大好きなMちゃん。