電車が、好き。
地下鉄の複雑な乗り換えが好き。
探検してるみたいでワクワクする。
灰色の空間に鮮やかな広告が並ぶ。
人々が複雑な動きをしながら行き交う。
狭くて、窮屈で、危なげで、
その中に古さと新しさが混在していて……
そういう空間を眺めながら、
のんびりと歩くのが好きだ。
旅先で、電車に揺られながら見る景色も
勿論、好き。
だけど、
都心部の、ひたすら騒がしい景観も好きだ。
常に忙(せわ)しくて、流動的で……
見ていて飽きない。
都心で生まれた私からすると
これが故郷の景色なのだ、と
電車に乗る度に認識を繰り返す。