ファッションよりむしろ熟年恋愛が気になる『テーラー 人生の仕立て屋』
【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:152/187
ストーリー:★★★☆☆
キャラクター:★★★☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆
【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
ファッション
仕立て屋
スーツ
ウェディングドレス
【あらすじ】
アテネで36年間、高級スーツの仕立て屋店を父と営んできた寡黙なニコス(ディミトリス・イメロス)。だが、不況で店は銀行に差し押さえられ、そのショックで父は倒れてしまう。
崖っぷちのニコスは店を飛び出し、あることを思いつく。病院で見たキャスター付きの台をヒントに、手作りの移動式屋台で仕立て屋を始めたのだ。
しかし、道端で高級スーツは全く売れず、商売は傾く一方。そんなとき、思いがけないオファーがくる。
「ウェディングドレスは作れる?」
これまで紳士服一筋だったニコス。思い切ってオーダーメイドのドレス作りを始めるが──。
【感想】
移動式仕立て屋という面白い設定の映画です。実際ありそうな話ですけど、完全にフィクションです。
<服好きにはたまらない風景>
服、特にスーツ好きの人は観てもいいかもしれません。ニコスとその父親の着こなしがとてもかっこいいから!ライトグレーにブルーの線が入ったチェック柄のスーツ。絶妙なストライプの入ったダークグレーやワインレッドのスーツ。外人さんにしか着こなせないんじゃないかっていうデザインが本当にかっこよくて。ネクタイとチーフの色を合わせるっていうセンスもよかったです。コーディネートの参考になりますよ、これ。
<主人公がおとなしすぎる>
ただ、主人公のニコスがほとんどしゃべらないし、表情も変わらないんですよ。もともと寡黙な性格という設定ではあるんですが、それにしても、セリフらしいセリフも少なく、なかなか気持ちが読み取りづらいんですよ。客の無茶ぶり、観ているこっちはちょっとイラっとするんですが、彼がどう感じているのかわかりませんし。隣人のオルガ(タミラ・クリエヴァ)と距離が縮まることにトキめいているのかどうかも読めません。てか、このオルガって夫と子供いるんですけどね!こんな無口で仏頂面なおっさんですが、なんか2人いい感じですからね!ちなみに、僕は本流と関係ないこのエピソードが、この映画で一番面白いところでした(笑)
<みなまで語らない映画>
ニコスのキャラクターからもわかる通り、この映画、全体的に全部見せないんですよ。なので、観客側でちょっと推測しなくちゃいけないところはあります。そのシーンではすべてを語らず、その後のシーンを観て、「ああ、結局こうだったんだな」って。特に、ニコスとオルガの夫との関係なんかはまさにそれでした。まあそこがこの映画のいいところでもあるんですが。
<その他>
それにしても、ニコスはウェディングドレスは初めて作るのに、けっこうトントン拍子でうまくやっちゃうんですよね。もっと試行錯誤するもんだと思っていましたが、意外とそこはあっさりで、むしろ素敵なドレスをたくさん作るんですよ。それはそれでこの映画の注目ポイントではあるんですが、けっこう淡々と進んでいく映画ではあるので、個人的には予告から得られる期待は超えられなかった印象でしたね~。
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