負け犬だからって人生終わりじゃない『きっと、またあえる』
【基本情報】
原題:Chhichhore
製作年:2019年
製作国:インド
配給:ファインフィルムズ
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:9/112
ストーリー:★★★★★
キャラクター:★★★★★
映像:★★★★★
音楽:★★★★★
【あらすじ】
息子が受験に失敗し、「負け犬の烙印を押された」とマンションから飛び降りた。
病院に駆けつけた父親のアニ(スシャント・シン・ラージプート)は息子にプレッシャーをかけたことを悔やみ、そして自身も学生時代は負け犬だったことを息子に語り始める。
そこに、息子を励まそうと集まってくるかつての悪友たち。インドでもトップクラスのボンベイ工科大学時代の仲間だが、彼らが寝泊まりしていた学生寮はボロボロの4号棟。気のいいやつらは多いものの、寮対抗の競技大会では万年ビリで、まわりからは"負け犬"とバカにされ続けてきた。
アニたちは汚名返上しようと一致団結し、実力で勝てないところはあらゆる手段を講じて勝ちをモノにしていくが、対戦相手も黙ってはいない。
果たしてアニたちは汚名を晴らすことができるのか。そして、その先で彼らが見たものとは。
【感想】
タイトルがほぼ同じで「あれ?」って思いましたけど、『きっと、うまくいく』とは何の関係もなかったです(笑)監督は『ダンガル きっと、つよくなる』と同じニテーシュ・ティワーリー監督で、彼の実体験も織り交ぜた話となっているとか。
「きっと、〇〇」ってすればいいと思っているのではなかろうか、邦題の担当者は(笑)
さて、この映画、ボリウッドの青春映画らしく、笑いと涙にあふれてます。青春映画と言えば、この前観た『ブックスマート』もそうですけど、ハリウッドにしろボリウッドにしろ、何であんなに学生生活が楽しそうなんでしょうか(笑)みんな全力でバカやってて人生謳歌してますよね。あのハチャメチャっぷりは邦画でも、実際の日本の学生生活でもほとんど見ないんじゃないでしょうか。男子寮で全員パンツ一丁で水かけ合戦やるとか、すんごく楽しそうでした。その学生時代の青春感は『きっと、うまくいく』と似た雰囲気はありましたね。
本作の特徴的なところは流れが2つあるところなんですよ。ひとつはアニの学生時代の面白おかしいエピソード。もうひとつは、こっちがメインなんだけど、彼の息子を励ますこと。
この映画はメッセージがシンプルで、負け犬であることを悔やんで死のうとした息子に対して、父親のアニが、負け犬だった自分たちがあきらめなかったこと、結果はどうであれ努力したという事実が大事であること、その結果大切な仲間ができて幸せに暮らせること、それを息子に伝えることで、彼の人生がまだ終わったわけではないことを知ってもらうとしてるんです。
『きっと、うまくいく』でも描写がありましたが、インドの受験戦争って相当に過酷らしいですね。成績を悲観して自殺する若者もけっこういるのだとか。。。まあ、僕も一浪して第一志望落ちたときは相当に荒れたし、人生終わったって思ったから気持ちはわかりますが。。。でも、そんなときに、おっさんたちがわんさか集まって昔話したところで、生きる希望が湧くかつったら正直疑問ですけどね(笑)
とまあ、暗い話は置いといて。アニの学生時代のエピソードは滑稽にも程がありました。実力で勝てない分、悪知恵を働かせて、相手を陥れる作戦は卑怯なんだけど笑えます(笑)まさに、NBAでフリースローするときに観客が気を散らせるっていうあんな感じです。終盤の『スラムダンク』感はかなりハラハラドキドキさせてくるから心臓に悪かった。。。(笑)
インド映画なので尺は長いですが、笑って泣けるいい映画でした。やってる映画館少ないですが、インド映画好きな方はぜひ!