セカチュー系映画『10万分の1』
【基本情報】
製作年:2020年
製作国:日本
配給:ポニーキャニオン、関西テレビ放送
【個人的順位】
鑑賞した2020年日本公開映画ランキング:165/183
ストーリー:★★☆☆☆
キャラクター:★★☆☆☆
映像:★★★☆☆
音楽:★★★☆☆
【あらすじ】
高校で剣道部のマネージャーを務める桜木莉乃(平祐奈)は、中学時代からの友人である剣道部の人気者・桐谷蓮(白濱亜嵐)に思いを寄せていた。
しかし、自分に自信が持てない莉乃は、学校中の生徒たちの憧れの的である蓮に気後れしてばかりで、告白して気まずくなるくらいなら友達のままでいようと思っていた。
そんなある日、思いがけず蓮の方から告白され、2人は付き合うことに。誰もがうらやむ幸せな日々を送る莉乃と蓮だったが、やがて「10万分の1」の確率でしか発症しないALSが莉乃の体を蝕み、残酷な運命が2人に降りかかろうとしていた。
【感想】
はい、いわゆる"セカチュー系映画"ってやつですね。ヒロインが病気になる高校生キラキラ青春純愛物語。一時期と比べると減ったようにも感じましたけど、一応まだ作られているんですね。
今回はヒロインがALS(筋萎縮性側索硬化症)にかかって、体の自由がだんだん奪われていく様子を克明に描いた内容となっています。彼氏もできて幸せ絶頂の思春期の女の子が、今までできたことができなくなっていくことに対する不安や悔しさがよく表れていると思いました。もし、身近に同じ病気の人がいたら、より共感度が増して感動的な話に映るだろうなと思います。
平祐奈もいつもこういう高校生役が多くて、かなり役の幅が限定されているように感じますが、今回は今までの中でもシリアスというか、キラキラだけじゃない苦悩や葛藤も多くあって、ちょっと一味違う印象を受けましたね。
映画だと2時間であっさり終わっちゃうので、こういうのはテレビドラマの方がいいんじゃないかっていう気もしますけどね。それこそ、『神様、もう少しだけ』みたいに。
でも、僕は思うんです。この映画に限りませんが、こういうジャンルの邦画って、高校生にいろいろ背負わせすぎじゃないかって。実際の高校生活って、そんなにキラキラしてたり、絶望に打ちひしがれたりするようなことって多いですかねー?とにかく舞台を高校にしたがってる感じがしませんか?
そもそも原作がそうなってるっていうのもありますけど、まあ、中学生じゃ子供すぎるし、高校生なら20代後半の役者でも演じられるからっていうのもあるとは思いますが、少子化で子供が減っていく中で、そこまで高校にこだわる必要ってあるんですかね。
僕の年代に合わせるわけじゃないですが、例えば、子供が生まれたばかりの30代のお父さん・お母さんとか、独立して会社が軌道に乗り始めたスタートアップの社長とか、そういう方が今の時代に合っているようにも思うのですが、どうでしょうか。
2004年の『世界の中心で、愛をさけぶ』からほとんど変わってないっていうのもある意味すごいですよね。病気と役者を変えてほぼ同じ型にはめてるというか。
こんなにもお互いが好きなのに、いまだにキスだけで終わりますし。別にベッドインが観たいわけじゃないですけど、愛情表現が乏しい印象を受けます。これ、ハリウッドや韓国だったらどういう感じになるんだろうってずっと考えながら観てたんですが、きっともっとみんな感情を露わにしてたし、ヒロインが激しく取り乱すシーンもあったりして、より登場人物に対して感情移入しやすかっただろうなって思います。
病気の辛さはわかるけど、映画全体として観ると、これまでの同ジャンルの映画とほぼ同じだから、ある程度映画をたくさん観ている人なら、わざわざ映画館に行くほどでもないかなーって個人的には思ってしまいました(笑)
いや、今の若い子たちにはね、もしかしたら僕らでいう『セカチュー』になりえるかもしれませんが。